熊本市渡鹿(とろく)2丁目の会社役員右田孝治さん(72)方で妻の美子さん(65)が刺殺され、孝治さんも重傷を負った事件で、熊本東署の捜査本部は26日未明、殺人と殺人未遂容疑で、熊本市長嶺東5丁目の無職、田尻賢一容疑者(39)を逮捕した。捜査本部によると、「金銭目的で(右田さん方に)入った」との趣旨の供述をしているという。
捜査本部によると、田尻容疑者は25日午後4時ごろ、家族に付き添われて同署に自首。事件当時、着用していたというハンチング帽と凶器とみられるバタフライナイフ(刃渡り約10センチ)などを携えていた。右田さん方のインターホンのカメラに事件直前、ハンチング帽姿の男が写っていた。田尻容疑者は「報道で逃げ切れないと思った」と話しており、右田さん夫妻と面識はなかったという。
逮捕容疑は、23日午後6時10分ごろ、右田さん宅で美子さんの顔や首、胸などを刃物で刺して殺害し、同6時半ごろ、孝治さんの腹などを刺し、重傷を負わせた疑い。
孝治さんは23日午後6時40分ごろ隣家の玄関先で倒れているのが見つかり、110番で駆け付けた署員が右田さん方で美子さんを発見した。孝治さんは勤務先から帰宅直後に襲われたとみられる。
=2011/02/26付 西日本新聞朝刊=