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燃料棒の溶融、保安院が初めて認める 内閣府に報告

2011年4月18日21時32分

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 福島第一原発1〜3号機の原子炉内にある燃料棒は一部が溶けて形が崩れている、との見解を経済産業省原子力安全・保安院が示した。18日に開かれた内閣府の原子力安全委員会に初めて報告した。保安院はこれまで、燃料損傷の可能性は認めていたが、「溶融」は公式に認めていなかった。

 燃料棒がどの程度壊れ、溶融しているかは、被害の程度を知る重要な要素。燃料が溶ければ大量の放射性物質が漏れ出て、冷却水や原子炉内の蒸気が高濃度で汚染されることになる。

 1〜3号機については、地震被災後間もなく起きた水素爆発とみられる爆発の直後から、専門家の間で燃料の溶融が指摘されていた。保安院も可能性については言及しつつ、明言してこなかった。

 保安院は、燃料棒の表面を覆う金属製の被覆管が熱で傷つき、内部の放射性物質が放出されると「炉心損傷」、燃料棒内部にある燃料を焼き固めたペレットが溶けて崩れると「燃料ペレットの溶融」、溶けた燃料棒が原子炉下部に落ちると「メルトダウン」、と定義した。

 そのうえで、検出された放射性物質の成分や濃度などから、1〜3号機で「燃料ペレットの溶融」が起きていると推測。さらに、制御棒などと一緒に溶けた燃料ペレットが、下にたまった水で冷やされ、水面付近で再び固まっている、との見方を示した。

 ただし、どの程度溶けているかは「実際に燃料を取り出すまでは確定しない」とした。東電は、炉心損傷の割合を、放射線量から1号機で約70%などと推定していたが「現時点では目安にすぎない」としている。

 再び、核分裂反応が連鎖的に起きる「再臨界」が事故後に起きた可能性は、炉心に入れる水にホウ酸を混ぜており、「極めて低い」としている。

 保安院の西山英彦審議官は18日の会見で「溶融とはっきり言うけれど、基本的な考え方自体は変わっていない」とし、これまでわかったことを整理したとの立場であることを強調した。(小宮山亮磨、小堀龍之)

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