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新・神奈川県知事 黒岩祐治氏に聞く「今、なぜ統合医療が求められているのか」(4)

2011年4月14日 07:00

 10日、投開票が行なわれた神奈川県知事選挙で、国際医療福祉大学大学院教授の黒岩祐治氏(56)が、170万を超える票を獲得し、初当選した。黒岩氏に対し、選挙前に行なったインタビューを掲載する。

<健康食品には判断基準を作るべき>

 父の闘病体験をきっかけに統合医療の研究を始めましたが、統合医療には様々な治療法があり、混然一体となっています。ある地方で古くから受け継がれてきた民間療法もあり、海外から伝わってきたハーブ療法、そして健康食品を使った代替医療などがあり、中には「これはちょっと」と首を傾げたくなる療法もあります。健康食品は相変わらず根強い人気を見せていますが、まだまだ玉石混交なので、善し悪しを判断する基準が作っていく必要があります。それができない限り、健康食品は先に進めないのではないでしょうか。

 父がお世話になった漢方も、政治的な思惑が絡んだ問題を抱えています。漢方は、もともとは中医学として中国で生まれたものですが、朝鮮半島に伝わって「韓方」となり、日本に来て和漢薬、そして日本の「漢方」となり、それぞれ独自に発展して違った形の医学を築いてきたわけです。

 近年、伝統医学を見直そうという機運が世界的に高まっており、それ自体は評価できるんですが、一方では各国の思惑から戦略的に自国の療法を世界基準にしようとする動きもあります。黒岩 祐治 氏例えば中国は、中医学を国際標準にしようとしていますし、中国の攻勢に対し、韓国も「韓方」を全面に出して抵抗している。しかし、日本は全く国家戦略として動いていません。もともと日本の中では漢方の位置付けが明確になっていないのです。西洋医学を行う医師の中で、東洋医学に関心のある医師がやっているという程度です。ですから世界基準をつくろうとしている今、日本が黙っているとどんどん押し切られてしまうことになりかねません。

(つづく)

【吉村 敏】

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<プロフィール>
黒岩 祐治黒岩 祐治(くろいわ・ゆうじ)
ジャーナリスト、国際医療福祉大学大学院教授、早稲田大学大学院公共経営研究科講師。
1954年生まれ。兵庫県出身。1980年、早稲田大学政経学部卒業後、フジテレビジョン入社。
報道記者、番組ディレクターを経て「FNNスーパータイム」「報道2001」「新報道2001」のキャスターに。2年間のワシントン駐在を経験。自ら企画・取材・編集を手掛けた救急医療キャンペーンが救急救命士誕生に結び付き、放送文化基金賞、民間放送連盟賞を受賞。92年から放送の「感動の看護師最前線」シリーズのプロデュースキャスター、ミュージカル「葉っぱのフレディ」のプロデューサーを努める。著書に、「日本を再生するマグネット国家論」(新潮社)、「恩師の条件」(リヨン社)、「末期ガンなのにステーキを食べ、苦しまずに逝った父」(講談社)など。

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