始めました。いや、初めまして。「oyakata」と名乗らせて頂きます、しがない文章書きです。アニメ見て、原作買って、3日間悩んで、ラウラちゃんを嫁にすることに決めました。まぁ、解り易い程にIS初心者なんで、原作崩壊してしまうような部分があるかもしれません。何か見つけましたら、「ちっげーよヴァーカ」と指摘して下さると喜びます。ドMですね。では、軽く作品紹介。・主人公はオリジナルの女性IS操縦者・下ネタオヤジギャグ成分を含む・製作者は「ブラックラビッ党」・製作者は紳士・笑いありシリアスありこんな所ですかね。なるべく原作の空気を崩さないようにしていきます。原作者の弓弦イズル様に敬意を込めて、執筆していきたいと思います。
「えー、今日は皆さんに新しい転校生を紹介します」はて、この光景にはデジャブを感じざるを得ない。教壇の上に立つ山田先生も、この台詞を言うのに違和感を覚えているように見えた。と言うか、山田先生はまたフラフラしている。あぁあれか。この後の部屋割りの編成作業を憂いてのことか。ご愁傷様です。「では、入ってください」「はぁい!」元気の良い声が、廊下から聞こえてきた。バシュっという音と共に、教室の中に桃色の髪の女子生徒が入ってくる。おぉ、今度はちゃんとした女子だ。いや、桃色の髪の毛をした女子を見て『ちゃんとした女子』だと言う感想を言う男は世界広しと言えども俺くらいだろうが。それでも、男装した女子や眼帯をした女子に比べれば、『ちゃんとした女子』と言えないことも無いと思う。「なっ―――」背後から聞こえて声に反応して振り返ると、そこには例の眼帯をした女子ことラウラが桃色の髪の毛の女子を見てその片方しか出ていない目を見開いている。知り合いなのだろうか。とか思っている間に、桃色女子(勝手に命名)は教壇に立っていた。「では、自己紹介してください」「はい! フィリーネ・エルトゥールです! 好きなモノはラウラさん、嫌いじゃないモノはラウラさん、得意科目はIS整備、苦手科目はIS実習、将来の夢はラウラさんのお嫁さんです!」唖然。なんなんだ、今のは?良く聞き知った名前が多分に含まれていた気がするが、気のせい……では無いだろうな。振り返ると、ラウラは「私は何も知らない」と言いたげな表情であらぬ方向を見つめていた。が、頬に伝う冷や汗が、珍しくラウラが焦っていることを表していた。「え、えぇーと……で、ではフィリーネさん、空いている席にお座りくださ……」「きゃあああああああああああああああああ――――――――――――――――――――――っ!!!」ソニックウェーブと言う奴だろうか。ん? これもデジャブだな。まぁ、そのデジャブ通り、歓喜の叫びがクラス全体を包んだ。一瞬発動が遅れたのは、やはり先ほどのフィリーネの自己紹介が原因だろう。「百合よ! 百合女の登場よ!」「まさか、ラウラさんを追ってドイツから!?」「織斑君とあの子でラウラさんを取り合うのかしら!?」俺が何かすることを前提として話が進められているように聞こえるが、声と声が重なり合って何を言っているのか全く聞き取れない。ちなみに、この場を収める役目を持っている千冬姉は職員会議が長引いているらしく、まだここに居ない。困ったぞ、早く来てくれないと山田先生だけではこの場を収集することは不可能だ。「み、皆さん、落ち着いてください~! はうぅ、織斑先生ぃ~」あぁ、もう諦めた。山田先生、最近だらしねぇな。いや、このクラスの女子の勢いが凄まじすぎるのか?と言うか、何でまたこのクラスに転校生入れたんだ。分散させろって。「……あ」「ん?」ふと、桃色女子と目が合う。とてつもなく嫌な予感がしたが、最初から決め付けるのは良くないよな。流石に、また殴られそうになったら避けるくらいの準備はしよう。「貴方が織斑一夏ですね?」「あぁ、そうだ」「じゃあ死んでください☆」「は?」次の瞬間、目の前に銀色の物体があらわれた。脳内データベースと照合すると、これはデザートイーグルと言う奴じゃないか?凄いな、片手で構えてる。片手撃ちって、随分と訓練しないと辛いんじゃ無いのか?……ってチョット待て。その銃口が俺に向いているんだが?「うおぉ!?」「あ、動いたら駄目ですよー」慌てて飛びのいた俺に、また照準を合わせなおそうとするフィリーネ。その間に、慌てて走ってきたラウラが立ちふさがる。「何をしているフィリーネ!」「あぁん、ラウラさぁん!」フィリーネはラウラの姿を確認すると、突然抱きついた。何が起こったのか把握できていないラウラ。次の瞬間、顔を真っ赤にして膝を突き上げた。はて、女同士抱きついたくらいで赤くなるのか?あぁ、きっと怒りで赤くなったんだろう。「ふぐっ!?」「馬鹿者、離れろフィリーネ!」離れると言うより、倒れるフィリーネ。鳩尾に入ったのだろうか、死にそうな表情をしている。その騒動で、教室内の騒動は収まっていた。代わりに、いきなり暴力を振るった(ように見える)ラウラに一斉に視線が集中する。その視線に耐えられなくなったか、ラウラは少し焦った風にフィリーネが手放したデザートイーグルを拾い上げる。「全く、学園内に銃器を持ち込むなど……ん?」ラウラはデザートイーグルを持ち上げて、何かに気がついたようだった。無造作に天井に銃口を向け、トリガーを引いた。パァン、と言う音と共に出てきたのは色とりどりの紙ふぶきと国旗のついた紐だった。あちゃあ、と言う表情で半身を起こしているフィリーネに、ラウラは問いかける。「……これはどういうことだ、フィリーネ」「い、いやぁ……お茶目ってことで☆」「ふんっ」「う゛っ」ラウラの爪先が、正確にフィリーネの鳩尾を突き刺す。鈍い音と痛そうな声に重なって、朝のホームルーム終了のチャイムが鳴り響いた。 ◇ 目覚めると、そこは見知らぬ部屋だった。自分が寝ているベッドと、それを外部から隠すように視界に広がる白いカーテンの様子から、保健室に居るのだということはわかった。「……どのくらい寝てたのかにゃ?」「1時間だ」「あ、千冬教官」カーテンを開けて入ってきたのは、以前ドイツでお世話になった教官、千冬教官だった。黒のスーツがキマっている。うへへ、そそりますのぅ。「織斑先生と呼べ、馬鹿者が」「ふぎっ!?」右手に持っていた出席簿の角が、脳天を直撃。出席簿と言う武器を最大限生かした攻撃に、予想外のダメージ。流石です、織斑先生。「いきなり教室で騒ぎを起こし、場を乱すだけ乱して気絶して私の授業を受けないとはいい度胸だな」「千冬きょ……織斑先生も知ってるでしょ? 私はISの知識は完っ璧! もう私に座学は必要無いにゃ」「……まぁ、知識だけはな」「たはー、手痛いお言葉」「次の授業は実習だ。お前は特別に私が見てやろう」「マジですか!? いやー、持つべき物は美人教師ですなぁ、うへへへへ」「あぁ、感謝しろ」……ん? 何か千冬教官の目を見ていたら、背筋に寒気が……「あ、えーと、やっぱり皆と同じメニューでもいいかなー……なんて」「遠慮するな」遠慮するな → 断れると思うな → どうあがいても絶望「……優しくしてね?」「安心しろ、手取り足取り教えてやる」あれれ、ぜんぜん嬉しく無いんですが。 つづく
「皆さんオハヨウゴザイマス、フィリーネちゃんでーっす」ここは学生寮。IS学園は全寮制なので、全学生がこの寮で暮らしている。例外なく、私もこの寮で暮らしているのです。そう、つまりラウラさんと同じ屋根の下で暮らしていることになるのです。「……なのに!」IS学園に入学してから1週間。私はずっと……織斑先生の部屋で過ごしていました。感想ですか? 「地獄でした」の一言です。同学年のS・Hさん「気をしっかり持つのだぞ。何があっても挫けるな」同学年のS・Oさん「そ、それはお気の毒に……何もせず、石像のように耐えるのですわ」同学年のH・Rさん「想像しただけでも恐ろしいわね……」同学年のS・Dさん「だ、大丈夫なの? こ、困った事があったら言ってね?」と、1週間の内に随分と同情を買いました。「けれど、それも今日まで……1週間! 私は耐えに耐え抜いてきた! そして、今のこのチャンスを掴んだのです!」今、私はラウラさんの部屋の前で待機中。いつもは千冬教官に叩き起こされ、そのまま学校に連行。朝食もままならないまま、仕事を手伝わされ、そのまま教室まで連行。そして授業。帰りも仕事を手伝わされ、日が沈む頃に帰宅し、そのまま就寝。なんともスパルタな1週間でした。けれど、今日に限って千冬教官は早朝に出て行ったようで、机の上に「時間通りに登校しろ」との書置きが。「これはもう、天が与えたチャンス!」着替えもせず、寝巻きのまま千冬教官の部屋を飛び出してここまでやってきたと言う訳です。もちろん目的は、愛しのラウラさんに会うため!授業中はもちろん、実習の時間も千冬教官に監視されて初日以外ラウラさんとは未だに話が出来ていないのです。そりゃ、我慢もストレスも限界ですよ!「いざ行かん! ヘブンへ!」ちなみに、当然掛かっていた鍵は千冬教官の部屋にあったマスターキーであけました。犯罪です。みなさんは、真似しないように☆「ラウラさぁーーーーーーーん!」「うひゃあああ!?」扉を勢いよく開き、ベッドまで走る。見るとベッドが二つあり、片方はもぬけの殻。もう一方のベッドに、慌てて布団を被る人影が。きっと愛しのラウラさんに違いない!これはルパンダイブで飛び込むべき。「らぁ~う~らさぁ~ん」「いやああああああああああああああああああああ!」 どげしっ「ふぐぅっ」強烈な蹴り上げを食らい、薄れ逝く意識の中で金髪の美少女を見た。あれ……ラウラさんじゃにゃい……がくっ ◇「フィリーネ……起きろフィリーネ」「あぁ、夢の中にまで出てきてくれるなんて、流石はラウラさん……」「起きろと言っている!」「ふぐっ!?」朝の日課(一夏のベッドに潜り込む)を済ませて戻ってくると、困り果てた顔をしているルームメイトのシャルロットと気絶したフィリーネが居た。面倒くさいので、適当に蹴りを入れて起こす。すると、面白い具合に飛び起きるフィリーネ。いつもこのように機敏な反応をしてくれると助かるんだが。「ら、ら、ラウラしゃん……」「何だ?」「ぜ、ぜ、ぜ、全裸……!?」「あぁ。一夏に会いに行っていたからな」「「な、なんだってー!?」」まぁ、今は予め用意していたバスタオルを身体に巻いているがな。ん? 何故、シャルロットまで声を荒げているんだ?まぁ、それよりも先ずはフィリーネに聞かなければならない事がある。千冬教官に直接聞いてもはぐらかされてしまったし、ここ1週間はずっと忙しそうにしていた。フィリーネを助手として連れまわすくらいだ、何かあったのだろう。「ところでフィリーネ」「ひゃ、ひゃい!?」「何故、IS学園に来れた? 同じ部隊から2人も留学生を出すなど、私は知らんぞ」「あ、え、えぇと……私の『特性』をですね。ちょいと学園関係者の方にお話致しまして、特例として入れてもらいました」「何?」フィリーネには、他の人とは違うちょっとした特性がある。確かに、その話をすれば学園に編入する事は可能だろう。だが、それは同時に……「話してしまったのか?」「は、はいー……あ、あのもしかして、ヤバかったですか?」「……いや、お前が良いのなら、私は何も言わん。そうだな、この学園に居れば何か変化があるかもしれん」フィリーネと出会った時の事を思い出す。あれは確か、教官がドイツに来て3ヶ月ほど経った頃の事だ。『高い適正率を持つ人材が見つかった』と報告を受け、私の提案で我が部隊に引き入れようとした。だが、最初にフィリーネとコンタクトを取ったのは牢屋の中。そこに居たのは、膝を抱えた幼い少女だった。「あ、あの、ラウラさん……怒ってます?」「何?」「そ、そのその、勝手に秘密喋って、日本まで来て……」「いや、別にお前の特性については秘密にしているわけでは無い。お前自身の強み、メリットだ。上手く使え」「は……はい!」普段から明るく振舞っているフィリーネだが、自分の特性に負い目を感じている部分がある。そう、フィリーネの特性は『極端に高い適正率』。測定器が故障してしまうほど高い数値を出すので、暫定的にSとなっているが、実際の数値はわからない。その事実を伝えれば、誰だろうとIS学園への入学を認めるだろう。だが、それは同時にフィリーネに多大なる期待が掛かることになる。それを、フィリーネは嫌っていたはずだ。「どういう心情の変化なのかは知らないが、この学園に来たのなら相応の努力をするのだな」「は、はい! お任せください! ラウラさんの為に頑張ります!」「いや、私の為ではなくフィリーネ自身の為にだな……」フィリーネは、直ぐに「他人の為」と発言する癖がある。意図的にしているのか、もしくは自分をないがしろにしているのか。稀に心配になる。「……時にフィリーネ」「はい?」「先ほどから鼻の辺りに赤いものが見えるのだが?」「あ、すいません、興奮して鼻血が……」「何に興奮したんだ?」「もちろんラウラさんの裸体に―――」無意識に蹴りを入れて、部屋の外まで吹き飛ばす。フィリーネは私で遊ぼうとする所があるからな。「あ、あの……そろそろ時間が……」「ん?」同室のシャルロットが、遠慮がちに目覚まし時計を見せる。見ると、時計の短針が9に近づきつつあった。 ◇遅刻ギリギリで教室に駆け込んできたラウラとシャルと軽く挨拶を交わすと、直後に千冬姉が教室に入ってくる。千冬姉が教壇に立った頃に、教室を覗き込む人影。1週間前にクラスメイトになった、桃色女子ことフィリーネだった。もちろん、問答無用の出席簿アタックを食らって席についた。「今日は授業の前に、来週から行われる授業内トーナメントについて説明する」千冬姉はプロジェクターを下ろし、名前が羅列された表を映した。ちなみに授業内トーナメントとは、その名の通り授業時間を利用したトーナメントだ。説明いらなかったな。「先ず最初に4つのグループに分け、バトルロワイヤルを行う。そこで勝ち残った者が4名、トーナメント形式で戦う」「織斑先生、それではあまりにも専用機持ちに有利なのではありませんか?」「良い質問だな」箒の質問に、千冬姉はプロジェクターを指差して答える。「バトルロワイヤルとは、何も全員が敵と言うわけではない。戦闘中、あるいは戦闘前に予め手を組んでおくことも可能だ。つまり……」「つまり……?」「専用機持ちは袋叩きにあう可能性があると言うことだ」唖然としたのは、もちろん俺、セシリア、シャル、ラウラ。そして当然の如く、この4人はそれぞれのグループに別々に振り分けられている。これ、確実に詰みじゃないか?あ。箒と同じグループだ。「専用機持ちは今週中に仲間を増やしておくことだな……そうだ、エルトゥール」「ひゃい!?」考え事でもしていたのか、急に指名されて立ち上がる桃色女子。訝しげな目を向ける千冬姉とくすくす笑うクラスメイトを見て、真っ赤になって縮こまった。「放課後、第2アリーナに来い。解ったな?」「は、はい……」あれ? 確か、今日は第2アリーナは点検の為に使用禁止だったはずだけど……「では、授業を始めるぞ」色々と大事な事をさらっと伝え、千冬姉は授業を開始してしまった。 つづく