震災発生の直後、ドイツの友人から安否を気遣うメールが届いた。被害の深刻さが大きく報じられ、かつて暮らした長野県はどんな状況か、心配だったようだ。長野市の揺れ具合や下水内郡栄村で被害が出たことをすぐに知らせた
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彼と知り合ったのは、日本が太陽光発電で世界一の座にいた1990年代のことだ。その技術を学ぶために信大工学部に留学していた。今は欧州連合の機関で、太陽光など再生可能エネルギーの研究をしている
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その後のメールでは、原発への依存を強めてきた日本の政策に疑問を投げかけた。チェルノブイリ原発事故の怖さを体験した欧州人ならば当然の反応だろう。ドイツでは「脱原発」の世論が急速に高まり、政府が原発政策の見直しを余儀なくされている
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日本はどうか。原発増設を白紙で考え直すような発言をした菅直人首相は、先日の会見では原発は必要との認識を示した。本音はどこか、今後のエネルギー政策をどう考えているのか。相変わらず分かりにくい
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福島第1原発事故で「安全神話」は完全に崩壊した。今後の新設や増設は厳しい。柏崎刈羽(新潟県)、浜岡(静岡県)、志賀(石川県)と、県境からそう遠くない所に原発がある長野県もひとごとでない。原発とどう向き合い、今後のエネルギー政策はどうあるべきか−。一人一人が暮らしの場からよくよく考える時期に来ている。