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福島第一、安全設計で第二と違い 電源喪失巡り東電指摘

2011年4月6日5時2分

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写真:西方約38キロ、高度約7300メートルから見た福島第一原子力発電所=5日午後3時10分、福島県大熊町、朝日新聞社機から、堀英治撮影拡大西方約38キロ、高度約7300メートルから見た福島第一原子力発電所=5日午後3時10分、福島県大熊町、朝日新聞社機から、堀英治撮影

図:福島第一原発と福島第二原発の比較拡大福島第一原発と福島第二原発の比較

 東日本大震災で被災した東京電力福島第一原子力発電所で、津波を受けて電源喪失事故に至った主要な理由は、福島第二原発との安全設計上の違いにあると、東京電力作成の資料で指摘されていることが分かった。第一ではタービン建屋内の非常用ディーゼル発電機などが冠水し、使用不能。第二では、発電機などが気密性が高い原子炉建屋内にあり、機能を維持した。今後、事故の検証で安全設計の問題が焦点の一つになるのは確実だ。

 福島第一、第二の両原発は3月11日、5.2〜5.7メートルの想定を大幅に上回る14メートル以上の津波に襲われた。電源を失った第一では原子炉の制御が困難になり、その後、深刻なトラブルが続発。第二では原子炉の冷却水を海水で冷やすシステムが正常に働かなくなるなどのトラブルがあったが、大きな事故には至らなかった。

 東電の柏崎刈羽原発(新潟県)がこの結果を分析した資料や東電関係者の話によると、津波による設備の損傷の違いは、(1)原子炉の非常用ディーゼル発電機と変圧器などの電源装置(2)原子炉の残留熱を除去するための海水をくみ上げるポンプ――に現れた。

 (1)では、タービン建屋などにある福島第一の発電機が冠水し、6号機の1系統を除き使用不能。原子炉建屋内の福島第二では、1号機の原子炉建屋が浸水したものの、機能が維持された。

 (2)では、設備がほぼむき出しの状態で置かれた福島第一のポンプがすべて運転不能になった。一方、ポンプ用の建屋内に置かれた福島第二では、1、2、4号機のポンプが運転不能となったものの、3号機は機能が保たれ、原子炉を冷却することが可能だった。

 (1)、(2)とも福島第二と同じ設計となっている柏崎刈羽原発では、この結果を受けて説明資料を作成。柏崎刈羽は「気密性の高い原子炉建屋に設置」しているとし、福島第一との違いを際立たせている。

 また、資料では、東北電力から送られている、外部電源の状態についても言及。福島第一、第二ではいずれも、東北電力からの送電が部分的に残っていたが、福島第一では、受電するための設備が地震や津波で被害を受け、外部電源が失われた。これに対し、福島第二では受電設備が機能しており、外部電源の一部が生きていた。

 事故収束の見通しが立っていない福島第一とは対照的に、福島第二では、3号機が地震発生の翌日の12日に、残る1、2、4号機も14〜15日に原子炉内の温度が100度未満の「冷温停止」となり、安全が宣言された。

 東京電力本社は「(柏崎刈羽原発の指摘について)問題があると認めたわけではない。今後詳細に検討し、整理したい」としている。(中井大助)

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