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★スペシャルインタビュー
梶浦由記 『FICTIONⅡ』 スペシャルインタビュー 1
FictionJunctionとしてではなく、Kalafinaのプロデューサーでもなく、梶浦由記が“素直に聴きたい”曲を作り、1枚に集約。異界と現世の狭間を行き来するかのような幻惑的な音、郷愁をかきたてる音など、“梶浦由記”に満ちたソロアルバム『FICTION Ⅱ』について聞く。


アルバムのコンセプトは“コンセプトなし”って(笑)

――前作の『FICTION』から8年近くのインターバルを置いてのリリースとなりました。

梶浦 私の場合、サントラが本業で、ソロアルバムはそこから離れたところにあると思っているので、いつ出してもいいというか(笑)。結局、仕事を優先しているうちに8年も経ってしまいましたね。前に作った時、「2、3年経ったら出そうよ」とはスタッフと話していたんですけど。でも、(Yuki Kajiura)ライブをやり始めていなければ、さらに出てなかったんじゃないかな(笑)。「次の仕事があるし、あの仕事もやりたいし」ってことで仕事優先になっていたと思います。だけど、前回のライブで、やっぱりサントラの曲だけではなく、そろそろ「梶浦由記です」って一枚を出してからやりたいと思ってしまったんですよね。いつ作ってもいい状態なんだけど、それなら、ライブの前に、ライブでできるような曲をいっぱい作って、ライブをやろう、と。でも、全くライブ仕様の曲がないアルバムになりましたね(笑)。

――では、ライブをお休みするとお知らせした時は今作の制作が頭にあったんですね。

梶浦 ありましたね。一回お休みをお願いして、ライブをやらないその時間でこのアルバムを作ったという感じですね。

――その時は、どのようなアルバムにしようと考えましたか?

梶浦 サウンドトラックではいつもコンセプトありきでやっているので、「ソロアルバムのコンセプトはコンセプトなし」って(笑)。すごくいい加減なコンセプトでしたね。まず、既存曲で収録する曲をスタッフと決めました。そこに新曲を加えてバランスを取るという予定だったんですけど、結局作りたい曲を作って終わりましたね。

――となると、今の梶浦さんの流行が現れた新曲でしょうか?

梶浦 前作も今回もアルバムへの書き下ろし曲は基本好きに作ったことには変わりはないのですが、ただ、『FICTION』の頃は今のようにFictionJunction(以下、FJ)やKalafinaのような活動はしていなかったので「私に歌を作らせろ」的な時代だったんじゃないかと。「歌モノ作り足りない」みたいな(笑)。だから『FICTION』の新曲は、かなりメロディアスなポップな曲が多かったと思います。でも、ここ数年はすごく歌モノが充実していたので、今回の新曲はメロディを前面に押し出すのではなく、「こういうサウンドが聴きたい」という、ふわっとした音全体の雰囲気から入ったんじゃないかと。終わってからなんとなくそんなことを思いました。


つづく


Text/清水耕司(超音速)
2011/04/04 16:00:00