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高濃度放射能汚染水、海への流出止まる 福島第一2号機

2011年4月6日11時43分

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写真:福島第一原発2号機の取水口付近にある作業用の穴(ピット)の壁の亀裂から海に流れ出ている汚染水=2日午後0時43分、東京電力提供拡大福島第一原発2号機の取水口付近にある作業用の穴(ピット)の壁の亀裂から海に流れ出ている汚染水=2日午後0時43分、東京電力提供

写真:福島第一原発2号機の取水口付近にある作業用の穴(ピット)の壁。亀裂から出ていた高濃度の放射能汚染水の流出が止まった=6日午前5時38分、東京電力提供拡大福島第一原発2号機の取水口付近にある作業用の穴(ピット)の壁。亀裂から出ていた高濃度の放射能汚染水の流出が止まった=6日午前5時38分、東京電力提供

図:汚染水の流出、高濃度は止まる拡大汚染水の流出、高濃度は止まる

 東日本大震災で被災した東京電力福島第一原発2号機の取水口近くで高濃度の放射能汚染水が流出していた問題で、東電は6日早朝、工事によって流出が止まったと発表した。ただ、汚染水のたまった建屋や坑道などには地震で多くの亀裂があるとみられ、別の場所から漏れ出る恐れがある。東電は汚染水が外洋に広がるのを抑えるため、1〜4号機の取水口付近をカーテン状の布で覆う工事を週内にも始める。

 流れ出ていたのは、2号機の原子炉の水を冷やすための海水の取水口近くにある作業用の穴(ピット)付近。2日朝、ピットの周囲に亀裂が見つかり、毎時1千ミリシーベルトを超える高濃度の汚染水が海に流れ出ていた。破損した燃料から漏れ出た大量の放射性物質を含んだ水が、タービン建屋や坑道を伝ってきたとみられる。

 当初は、流出ルートが特定できず、水を止める作業が難航した。5日午後3時、地上からピットの下にある砂利の層まで穴をあけ、砂利をガラス状に固める薬剤を注入する作業を開始。のべ52人の作業員が一晩かけて約1万2千リットル近くを注入したところ、6日午前5時38分に海への流出が止まったのが確認された。

     ◇

 福島第一原発では1、2、3号機のタービン建屋周辺に高濃度の放射能汚染水が推定で約6万トンたまっているとみられる。原子炉内への注水や燃料プールへの放水作業などで増える可能性もある。原子炉を冷却するシステムを復旧させるには、タービン建屋内での作業が欠かせないが、現状では放射線が高すぎて、作業が難しい。東京電力では敷地内のタンクや施設を利用して、水の「玉突き移送」を計画している。ただ高濃度の汚染水は敷地内で管理し続ける必要がある。

 タービン建屋の汚染水は最終的には建屋内にある復水器という装置に入れる予定だ。1〜3号機合わせて7500トン。ただ、すでに水が入っているため、別のタンクに移す必要がある。

 移す先は各号機の建屋の横にある復水貯蔵タンク(容量2千〜2500トン)。すでにこのタンクにあった水を圧力抑制室用貯水タンク(容量7千トン)に移し替える作業は終わった。現在は、復水器の水を復水貯蔵タンクに移す作業が進められている。

 敷地内には廃水を処理する集中廃棄物処理施設(容量3万トン)があり、ここにも汚染水はためられる。低濃度の放射能汚染水は、この処理施設にある水を放出している。

 このほか仮設タンクを設置して合計2万トン弱の容量を5月までに確保する予定。また、静岡市から提供された大型浮体式構造物(メガフロート)に1万トン、米軍が提供する台船(バージ船)に1隻あたり1千〜1200トンが収容可能だ。

     ◇

 〈放射能汚染水〉 福島第一原発では2号機のタービン建屋地下や外の坑道に高濃度の放射能汚染水がたまっている。これを移す場所を確保するため、もともとあった汚染度の低い水を海へ放流している。東電は「低レベル」と呼んでいるが、あくまで相対的な汚染度の違いで、高低の基準が法で定められているわけではない。原子炉等規制法が定める海水での濃度の基準に比べると100倍程度の濃度で、この水1万トンに含まれる放射能の量は、高濃度汚染水10リットル程度に含まれる量と同じ水準になる計算だ。

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