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| 【プロ野球】佑 ルーキー初白星一番乗り2011年4月18日 紙面から 
 ◆日本ハム8−4ロッテルーキー一番星はやはり、この男だった。日本ハムの斎藤佑樹投手(22)=早大=が17日、ロッテ戦にプロ初登板初先発。5イニングを6安打4失点(自責1)に抑え、プロ初勝利を挙げた。同じ早大出身で、巨人戦で初勝利を挙げた広島・福井より44分早く、今年の新人勝利一番乗りを果たした。昨秋ドラフトで4球団が競合した“持っている”スーパールーキーは順風満帆に第一歩を踏み出した。 プロ第1球は144キロの直球だった。「真っすぐをずっと追い求めてきた。これからもそれを追求するという気持ちを表しました」。思いを込めた球は真ん中高めへのストライク。先頭の岡田からはプロ入り初の三振も奪った。しかし、1死後には井口にその直球を右中間スタンドに運ばれてしまう。 やはり、プロの壁にぶつかるのか。だが“持っている男”の真骨頂はここからだった。その裏、味方が2死満塁のチャンスをつくり、打席にはホフパワー。この時、斎藤には予感があったのだという。「真っすぐをカーンといくイメージがありました」。その直後、逆転満塁弾が右翼スタンドに突き刺さった。 「あらためて、いいバックを持っていると思った」。逆転してもらった後は、流れをグイッと引き寄せた。2、3回は3者凡退。5回にまたも失策絡みで2点を失ったが、きっちりと責任投球回を投げきって見せた。梨田監督も「初先発初勝利だから100点で良いんじゃない」と喜ぶ上々の初登板だった。 デビュー戦がデーゲームになったことが、プラスに働いた。キャンプ中は午前6時には起床していたほど、早寝早起きの斎藤。そのルーツは高校時代にあった。「僕は勉強ができなかったので、朝早く学校に行って勉強していたんです。補習とかではなく自主的に。早起きはそれからですね」。斎藤自身も午後1時開始予定のゲームを「ちょうどいいですよね」と歓迎していただけに、この日の好投は必然だった。 この勝利はエースへの道の始まりでもある。名護キャンプ中。楽天との練習試合前のこと。斎藤は外野を走りながら、エース・ダルビッシュと2人きりで語り合った。登板間の調整や、トレーニング方法。ローテ投手としての心構えに加え、ダルビッシュが斎藤に教え込んだのはエースの誇りだった。「(エースは)そのチームのトップ同士とお互いに認め合って、リスペクトしている。だから投げ負けてもなんにも思わへん」。その時、ダルビッシュの視線の先には岩隈の姿があった。まだ1勝したばかりの斎藤だが、この先にはエースへの長く険しい道のりが待ち構える。 「この日の1勝は野球を始めたころからの夢。かなえられてうれしい」。斎藤はやや目を潤ませながら上ったお立ち台でそう話した。夏の甲子園決勝で引き分け再試合を制して、全国制覇を果たした早実時代。第100代主将として、早大の黄金時代を築いた大学時代。輝かしい球歴もすべてはプロローグ。真の斎藤伝説が、北の大地で幕を開けた。 (臼杵秀之) PR情報 
 
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