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停電が命の危機に直結 被災地の在宅重度障害者(2/2ページ)

2011年4月18日8時30分

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写真:生きている喜びをかみしめる菊池さん一家。左から父俊二さん、裕子さん、母紀子さん=岩手県釜石市甲子町、本田写す拡大生きている喜びをかみしめる菊池さん一家。左から父俊二さん、裕子さん、母紀子さん=岩手県釜石市甲子町、本田写す

 大きな余震がくると裕子さんは取り乱して泣き出すこともあるが、紀子さんは「支えてくれる人がいっぱいいて、ここまでこられた。この子の笑顔は私たちを救ってくれています」と話す。

     ◇

 岩手県陸前高田市立高田第一中学校3年の菅野優希君(14)は脊髄(せきずい)性筋萎縮症。2歳のときに発症した。

 家でも学校でも特注の車イスで元気に走り回るが、筋肉が日々衰えていて、集団生活での寝起きは困難だ。体力が弱く、風邪などもひきやすい。夜は、呼吸困難になるために人工呼吸器を装着する。

 地震初日、優希君は同級生らと体育館に避難。市内はほぼ全域が停電だったため、担任教諭らが救急隊員に事情を説明し、かかりつけでもある県立大船渡病院に緊急入院した。

 今も停電が続く家には戻れず、母の光子さん(37)は自閉症児の弟、小学6年生の星樹(としき)君(11)を連れて毎晩、同じ病室の床に泊まり込んでいる。余震があると興奮気味の星樹君も手足の不自由な兄にご飯を食べさせ、おむつを換え、お風呂で体を洗ってあげる。

 停電の自宅では、夫の雅人さん(47)と義父母が待つが、避難所にいないため支援物資の配給もないし、風呂にも入れない。在宅障害児が帰宅できるめどはない。

 岩手県重症心身障害児(者)を守る会(平野功会長)によると、県内の被災地沿岸部にはこうした在宅重症者は25人、病院や施設に入っている人たちは約80人いるという。(本田雅和)

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