岩手県陸前高田市で、津波の浸水地域にある自宅の跡地にプレハブの住宅を建てて家族と住み始めた男性に対し、16日、市側が、再び津波が起きると危険だとして、自主的に住宅を撤去するよう協力を求めました。男性は「住み慣れた自分の土地で落ち着いて暮らしたい」と話しています。
陸前高田市気仙町の大工、熊谷立郎さん(78)は、避難所での生活の疲れが大きいとして、津波で破壊された自宅の跡地に、5日前から1階建てのプレハブを建てて、家族4人で住み始めています。このプレハブを、16日、市の担当者が訪れ、津波で防潮堤が壊れ、危険な状況が続いていることを説明したうえで、「住宅の建設は見合わせてほしい」と伝え、自主的に撤去するよう協力を求めました。このあと、地元の自治会と市側の担当者との話し合いが行われ、自治会からは「自分たちの力で生活を立て直そうとしているだけだ」と、市の対応を批判する意見が出されました。これに対して、市側は「まちの復興について今検討を急いでいる。それまでの間、また津波が起きると危ないので理解してほしい」などと協力を求めましたが、話し合いは平行線に終わりました。熊谷さんは「市の呼びかけに戸惑っている。住み慣れた自分の土地で落ち着いて暮らしたい」と話しています。