原子力安全研究協会「国家の危機にお気楽宴会」前理事長は原子力安全委員長を務めた人物。
公益法人の面々が中華料理店に集合して

2011年04月17日(日) フライデー

フライデー経済の死角

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テンポよく杯を空ける。会場内からは、原子力問題を忘れさせる笑い声が漏れていた

 現在、原発が世界中を戦慄させている中、その安全性を研究している面々とは思えないほど、お気楽な様子である。その後、矢川理事長は、2時間ほど宴を楽しむと、夜8時半頃、マスクをつけて一人店を後にしている。

 同協会の専務理事であり、宴会の幹事を務めていた渡貫憲一氏は、会の趣旨をこう主張する。

「うちの協会で大きな人事異動があったんです。なかなか発表する機会もなかったので、コミュニケーションを円滑にとるためにも、理事や職員みんなで食事でもしたらどうか、と思っただけですよ。あくまでも、〝人事発表〟という意味合いです。それが悪いことでしょうか? 後ろめたいことは、何もしていません」

 矢川理事長も、本誌の直撃取材にこう答えた。

「あくまでも、人事異動を発表するための〝個人的な会〟なんです」

 だが、反原発の立場を取る作家の広瀬隆氏は憤りを隠さない。

「彼らは、原発安全を掲げた組織の人間ですよ。その原発が事故を起こし、国民に多大な心配を与えている。よく平気で酒を飲めますね。それに、協会の人事異動を知らせる会を、あくまで〝個人的な会〟と主張するのは不自然です」

 人事発表なら職場でやればよさそうなものである。加えて、花見の自粛が取り沙汰されている、世間の自粛ムードは、福島第一原発の事故が原因であることは明らかだ。仮にも国の委託を受け、その予算で原発の安全性の研究を行う公益財団法人なら、こんな時こそ一層の配慮がほしいのではないだろうか。

 

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