(毎日新聞社・1785円)
日本政治が、東日本大震災で改めて問われている。発生前からそれを見越した題名であり、内容となっている本書。政治の現場を長年観察し、磨いた著者の洞察力に敬服する。
菅直人首相は就任直後の所信表明で「サラリーマンの息子」を強調した。過去4代の首相は短命で、いずれも首相経験者の家系育ち。それと己を対比させた菅に、「出自は首相の適正とまったく関係ない」と著者は断言する。さらに、鳩山由紀夫前首相を含めたトップの言葉の軽さは「国難」とも結論づける。
鳩山も、小沢一郎元代表も「億単位のカネで国民の不信を買った」と糾弾。「小沢批判」を「言葉のファシズム」とするかつての同僚、鳥越俊太郎氏をも「間違っている」と指弾する。(喬)
毎日新聞 2011年4月17日 東京朝刊