10日投開票の奈良県知事選で現職の荒井正吾氏(66)が再選を果たした。関西広域連合への参加を掲げ急きょ出馬した県医師会長の塩見俊次氏(61)が善戦した。不参加の立場をとる荒井氏は有権者の「批判票」の重みをどう受け止めるか。判断が問われる2期目となる。
荒井氏が29万票超を獲得したのに対し、塩見氏の得票は22万票に達した。大阪への通勤者が多い生駒市では塩見氏の票が上回り、奈良市でも荒井氏に約3000票差まで迫った。
投票結果から企業誘致や雇用対策など4年間の行政手腕は評価しつつも、広域連合への対応に疑問符を付けた判断が見て取れる。
大阪、兵庫など7府県が昨年12月に設立した関西広域連合。防災や観光など広域で実施した方が効率がいい事業について共同実施するほか、国に地方分権改革を促す政治的な狙いもある。
奈良県は近畿で唯一参加していない。荒井氏はかねて「屋上屋」「余計な経費がかかる」などと批判。選挙戦でも「参加しなくても連携で十分」と主張してきた。
ただ、東日本大震災で広域連合は存在感を示した。被害の大きい東北3県への集中的な支援を決定。支援先を加盟府県で分担する「カウンターパート」方式の導入など、先進的な取り組みが全国から注目を集める。福島第1原子力発電所の事故に関連し、8日には、関西電力など電力3社に安全対策の強化と安全問題の定期協議を求めた。
一連の動きについて、奈良県は蚊帳の外に置かれているのが実情だ。有権者や地元経済界にはこうした取り組みに加わらない県の姿勢に対し、批判が根強い。
荒井氏が指摘するように、広域連合は様々な課題を抱えるが、分権を推進するうえで大きな政治力になり得るのは確か。九州、関東などでも追随する動きがある。奈良県が参加しなければ、国が権限移譲を進めない口実にする恐れすらある。
加わらないままでいるのか、参加したうえで組織・運営の改善を促し存在感を高めるという選択肢もある。20万を超える「批判票」の意味を、知事、県議会とも考えるべきだろう。(奈良支局長 川上寿敏)
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