県の「1人当たり県民所得」が、2008年度も全国最下位であることが28日、県企画部のまとめで分かった。県の経済水準を表す指標として、1972年の本土復帰以降、最下位が続いており、08年度は203万9千円だった。しかし、同年度は46位の高知県との差が7千円まで縮まった。仲井真弘多知事は昨年11月の県知事選で「県民所得全国中位」を公約に掲げており、次年度以降の数値が注目される。(島袋晋作)
08年度の1人当たり県民所得はリーマンショックなどの世界的な金融危機の影響などで、全都道府県で減少した。ただ全国が前年度比7・1%も減少する中、製造業比率などが小さい沖縄では影響が比較的小さく、1・2%減にとどまった。
46位の県との差も、06年度は11万4千円、07年度は5万2千円で、年々差を縮めてきている。
沖縄県は他の県に比べ、人口増加率の高さなどから今後も経済成長が期待されており、川上好久企画部長は「最下位脱出は間近まで来ている」と見ている。12年度以降の新たな沖縄振興の中で、効果的な施策を展開していく考えを示した。
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県民所得 給料などに当たる「雇用者報酬」、賃貸料などの「財産所得」、会社の利益にあたる「企業所得」の合計を、子どもも含めた総人口で割ったもので、県民の所得水準ではなく、経済全体の水準を表した指標となっている。これまで、県の産業規模は着実に拡大してきているものの、人口の増加率が大きいため、1人当たりの県民所得が伸びにくい状況も指摘されている。