ここから本文です。現在の位置は トップ > 地域ニュース > 島根 > 記事です。

島根

文字サイズ変更

しまねのひと:公立邑智病院の常勤内科医に赴任、坪井博文さん /島根

 ◇坪井博文さん(26)

 公立邑智病院(邑南町)の内科医として自ら応募、今月赴任した。慢性的な医師不足の中、同病院にとって心強い「ルーキー」だ。

 脳神経内科の道を志し、大卒後、札幌市の病院で2年間初期研修を受けた。その中で、摩周湖で知られる人口1万人足らずの北海道弟子屈(てしかが)町の病院で1カ月、診療に従事。そこで必要とされているのは、守備範囲の広い“オールラウンダー”の医師だった。

 内科、外科医師は2人ずつ。内科医が打撲傷を、外科医が腹痛を診るのは当たり前だった。内科医の坪井さんも、交通事故で大けがをした人の救急手当をした。「専門の前にいろいろな科目を診られる医師が不可欠」と痛感した。

 今の研修制度で、若い医師は負担の重い総合医の勤務を避けることが多く、過疎地医療にかかわる機会は少ない。「私もそうでしたが、弟子屈での1カ月で違う視点が開けました」。大都市の総合病院志望から、あえて中四国の地方病院を探すことにした。その中で、総合医療に熱心な邑智病院を知り、名乗りを挙げた。石原晋院長は、住民に感謝される「やりがい」とともに、専門外治療を担うことで医療事故や訴訟のデメリットも大きくなることを説明。しかし坪井さんは、志を曲げずに勤務を決めた。

 「専門は脳神経内科。でも、必要とされる場所で能力を発揮するのが医師の第一の務め」。邑南町の豊かな自然や、石見牛や高原野菜などの「郷土の味」もすっかり気に入っている。【鈴木健太郎】

==============

 ■人物略歴

 1985年広島県福山市生まれ。2009年岡山大医学部卒業後、初期研修としてJA北海道厚生連の病院で2年間勤務した。4月から内科医として公立邑智病院に赴任。邑南町中野。

毎日新聞 2011年4月17日 地方版

 
地域体験イベント検索

おすすめ情報

注目ブランド

毎日jp共同企画