宮城のニュース

全入院患者死亡・不明 3階移動中に津波 石巻・雄勝病院

雄勝湾に面した石巻市立雄勝病院=15日

 東日本大震災による津波で、石巻市立雄勝病院の入院患者40人全員が犠牲になった可能性が高いことが16日、石巻市災害対策本部への取材で分かった。対策本部によると、これまでに入院患者34人の死亡が確認され、残る6人が行方不明。さらに職員も25人のうち狩野研次郎院長(62)、鈴木孝寿副院長(58)ら13人が死亡、9人が行方不明になっているという。

 市災害対策本部によると、震災発生時に病院内にいて、生存が確認されたのは職員3人だけ。うち2人は漂流船で一夜を過ごし、救助された。狩野院長も一緒に漂流船にいたが、翌朝までに凍死した。もう1人の職員は山林の樹木に引っかかり助かったという。
 同本部が救助された職員から受けた説明によると、大津波警報の発令後、職員らは「(最上階の)3階にいれば大丈夫」と判断。患者を3階に移動させているさなかに津波に襲われ、多数の人が建物の外に流された。
 病院は雄勝湾に面した低地にある。震災当時、全病床が埋まっていて、入院患者には寝たきりの高齢者も多かった。
 同本部によると、病院に近い市雄勝総合支所では、津波の高さが19メートルに達した。病院では、ほかに外来患者1人が死亡したとの情報がある。
 市立3病院を統括する石巻市立病院の松川正事務長は「多くの患者と職員が犠牲になり、痛恨の極みだ。2人の常勤医を失い、病院機能が止まった。まだ再建に向かえる段階ではない」と話した。
 今回の震災では宮城県南三陸町の志津川病院で患者と職員計約300人のうち約70人が死亡・行方不明となった。
(野内貴史、土屋聡史)


2011年04月17日日曜日


Ads by Google

関連記事

powered by weblio


宮城
RSS

△先頭に戻る

新着情報
»一覧
特集
»一覧
  • 47NEWS