市中心部へはいつも仙台宮城ＩＣで降りますが、今回は手前の仙台南ＩＣで降りて仙台東部道路に入りました。津波による被害が一番大きかった地域の一つである若林・宮城野区を通る道で、避難所を確認するべきだと思ったからです。

■左右で全く違う車窓

　東部道路が防波堤のような役割を果たしたと聞いていましたが、その通り、左と右で車窓の風景が全く違いました。陸側は建物がかなり残っていたのに対し、海側はほとんど壊滅状態でした。荒浜は松林が有名ですが、ほとんどなぎ倒され、記憶に残る風景が跡形もなくなっていました。

　仙台では、まず市役所と県庁を訪ねました。2006年、トリノ五輪で優勝した後、仙台でパレードを催してくださったときにお世話になった市役所の方々、県庁の方々にお会いしてお話を伺うためです。市役所には母校・東北高の校長先生も来てくれました。３月に選抜高校野球に出た母校の球児たちは今、石巻や気仙沼でボランティア活動を頑張っていると聞きました。

　子供たちが多く避難しているところを訪れたいと思っていた。市役所の方が調べて、若林区の避難所に案内してくれました。

■子供たちは…

　子供たちは表面上は思いのほか明るい表情でしたが、「何がほしい？」「何をしたい？」と聞くと、答えがなかなか返ってこない。しばらくして「野球がしたい」などといった答えがポツリ、ポツリと返ってきた。

　これまで、大勢の子供を前にしてこうした質問をすると、「あれがしたい」「これがしたい」と次々に元気な声が返ったものです。やはり子供たちはつらい経験で傷ついているのだなと痛感しました。

　それでも、子供たちの元気な姿は大人たちを支えています。仙台のスケーターの話を聞いたとき、そう思いました。

　私が子供のときに練習した仙台に１つしかないリンクは、パイプが破損した上に隣接する建物が半壊し、再開のメドは立っていません。30人ほどの子供たちは春休み中、空いているリンクを探して、バスで遠征したそうです。