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福島第一1号機で爆発…90人以上が被曝か

爆発で建屋上部が吹き飛び骨組みだけになった福島第一原子力発電所1号機(東京電力提供)

 東日本巨大地震で被災した東京電力福島第一原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)1号機の原子炉建屋で12日午後、水素爆発が発生し、作業員4人が負傷、放射性物質も飛散して敷地外にいた住民ら3人が被曝(ひばく)した。

 1号機は原子炉内が過熱しており、経済産業省原子力安全・保安院は、炉心が溶融した可能性を指摘。東電は、運転再開が困難となる海水の注入に踏み切った。その作業に備え、福島県は同日夜、避難指示の範囲を半径20キロ・メートル圏へ拡大した。一方、宮城県南三陸町では、住民約1万人が不明になっていることがわかった。捜索が進むにつれ、多数の集落の壊滅が判明し、被害は未曽有の規模に拡大している。

 12日午後3時36分頃、福島第一原子力発電所1号機建屋付近で、ドーンという大きな爆発音とともに白煙が上がり、原子炉建屋が骨組みを残して吹き飛んだ。同日夜、記者会見した枝野官房長官は「格納容器と建屋の間にたまった水素による爆発で原子炉建屋の壁が崩壊した」と語った。

 残存した格納容器には損傷はないが、原子炉内の燃料集合体の一部が高熱で溶ける炉心溶融が進み、過酷事故に発展する恐れがあるため、東電は、炉内に核分裂を抑えるホウ酸と海水の注入を始めた。専門家は「廃炉覚悟の最終手段」と分析する。

 東電によると、爆発時、原子炉建屋内にいた同社社員2人、協力会社2人の計4人が負傷。病院に運ばれたが、意識はあったという。社員らは圧力が異常に上昇した格納容器内の水蒸気を逃がす作業をしており、格納容器内から噴き出した高圧蒸気が爆発につながった可能性もある。

 同1号機では、原子炉を冷やす水を注入するためのポンプの非常電源などが入らず、原子炉の十分な安全性を失っていた。格納容器内の圧力が異常に上昇していたため、12日朝から作業員が建屋内に入り、弁を開ける作業やホウ酸を注入する準備をしていた。

 枝野長官によると、爆発前に毎時1015マイクロ・?の放射線量が観測された原発周辺で、爆発直後には同860マイクロ・シーベルト、約3時間後には同70・5マイクロ・シーベルトと、爆発後にむしろ放射線量は減少していた。政府は、同日午後6時25分、同原発周辺の住民の避難範囲を半径10キロから20キロ・メートルに拡大した。

 福島県によると、原発から3キロ・メートル圏内にある双葉厚生病院の患者、職員90人以上が12日、被曝した可能性がある。3人を検査したところ3人とも除染ですむ程度の被曝をしていた。爆発時に避難のため学校で待っていて被曝したらしい。

2011年3月13日01時05分  読売新聞)

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