災害派遣、現場自衛官から上がる悲痛な声

なぜ政府は現場が活動しやすいように手を打たないのか

2011.04.14(Thu)  藤井 源太郎

国防

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 カタログデータ上はそうなのですが、装甲が厚いのは一部のみ。老朽化やサビ等により気密性は損なわれています。活性炭では放射性物質を完全に除去できません。また、ブルドーザーとしての能力はほとんどありません。

強力なサーチライトを生かすべし

在韓米軍、無人偵察機配備へ 北の監視を強化

米軍の無人偵察機「グローバル・ホーク」〔AFPBB News

 今回投入された74式戦車は、「ドーザーアタッチメント」を装着しています。これは、上下可動式であり、戦車自身が隠れる掩体壕を掘り、盛り土するためのものです。走行時に、小さながれきを除去することも、一応可能ではあります。

 しかし、大きな配管や電柱などを除去することはできませんし、横方向などの複雑な動きはできません。

 また、臨時の電源や通信回線が地面上に敷かれているため、それらを断線する危険性もあることから、視界が得られない74式戦車の出番は、恐らくないでしょう。

 それよりもむしろ、窃盗や不法領得が横行しており、電気も通っていない被災地に戦車を各所に配置して、白色光投光器による夜間照明を行った方が、治安の維持に活用できると思います。

 米空軍は、高々度無人偵察機RQ-4Bグローバル・ホーク2機を投入。米陸、海軍は小型垂直離着陸無人偵察機RQ-16タランチュラ・ホークを投入しています。

米軍に頼らず自前の情報収集力を

 平成23年度予算で高々度滞空無人機の調査費が計上され、ノースロップ・グラマン社が熱心に売り込んでいるRQ-4Bから、福島第一原発の凄惨な映像データがもたらされました。

 一方、陸自には、民間でも農薬散布実績のある富士重工業製の遠隔操縦観測システム(FFOS)やイラク復興支援での運用実績のあるヤマハ製無人ヘリコプターシステムが、方面特科隊(昔の砲兵、りゅう弾砲や対艦ミサイルなどを保有)等の観測用として配備されており、すぐに使えます。

 これらの無人機システムを、原発所内や被災地で運用すべきだと思います。我が国における大震災、原子力災害にもかかわらず、同盟国から情報を得ている現状は、やはり問題だと思います。

 それに、「トモダチ作戦」の費用は半分以上が我が国負担になるため、真に必要な点以外で依存しすぎるのは良くありません。

 米軍並みの高精度ではないとはいえ、我が国自身の手で、無人機を運用し情報を得て、爾後の対策に活用することは重要なことだと思います。

 また、被災地での無人機巡回は、74式戦車の投光器とともに、横行している窃盗等の不法行為への抑止力になると思います。

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