災害派遣、現場自衛官から上がる悲痛な声

なぜ政府は現場が活動しやすいように手を打たないのか

2011.04.14(Thu)  藤井 源太郎

国防

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2.相変わらずの装備品不足

 泥濘(ぬかるみ)や水位の高い場所で作業する場合、防水ツナギ(胴付き長靴)を履いて行うのですが、このツナギの靴部分は軽易なゴム製になっており、非常にタイトなため半長靴を履いたままでは履けません。

 そのため、半長靴なしで胴付き長靴を履きます。その結果、がれきが散乱している現場では、釘などが長靴のゴムを貫通して足裏に刺さるという負傷事故が多数発生しています。

ケガをしても抗生物質がない!

水の残る被災地、遺体の捜索続く

遺体を捜す自衛隊員〔AFPBB News

 なお、その胴付き長靴すら需品在庫が少ないため、民間から買い上げています。加えて、現場に随行している衛生班には抗生物質が不足しており、十分な衛生が行えておりません。

 原子力災害用では、ヨウ化カリウム剤が不足しています。陸自の福島駐屯地や空自の百里基地に集積されているものの、原子力災害派遣部隊は各部隊1000錠ずつ用意して派遣隊員に持たせることになっています。

 しかし、部隊ごとに製薬会社と調整するため交渉が難航しており、いまだ購入に至っておりません。今後、福島第一原発付近でのご遺体捜索や、がれき等の除去作業を行ううえで、薬剤の不足が予見されます。

 防衛大臣は、中期防衛力整備計画において約1000億円の予備費(安全保障会議の承認を得て支出し得る予備的経費)を持っています。

 その予備費を、今こそ現場が渇望している最低限の装備や薬剤などの購入費として活用することはできないものでしょうか。

私物の携帯電話で連絡を取り合う隊員たち

 自衛隊の行動は編制単位部隊(いわゆる○○中隊や○○隊)毎で行われます。その下に、小隊や分隊、班があります。被災地で活動する場合、中隊長や隊長の指揮の下、小隊に別れて作業を行います。

 部隊間の連絡は野外通信用の携帯無線機を使用するのですが、小隊に1台、分隊にはなしというのが当たり前になっています。

 小隊以下はどのように連絡を取っていると思いますか?

 それは隊員の私物携帯(通信料ももちろん隊員負担)です。電波が通らない所では、伝令を走らせるか大声で呼ぶのです。

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