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届かぬ被災地の声、支援阻む「情報断絶」
震災1カ月で課題が露呈 16年前の教訓生かせず

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2011/4/16 7:00
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 高速道路の三陸道を下り、石巻市内に入る。沿道の光景はいたって日常だが、石巻駅前に近づくにつれて様変わりする。津波は商店街や飲食店が密集する市街地にまで押し寄せ、駅前商店街の多くの店内ががれきに加えて汚泥やヘドロにまみれていた。

延焼が続いた石巻市沿岸部の南浜町。住宅密集地だったが、焼け野原のような光景が広がる
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延焼が続いた石巻市沿岸部の南浜町。住宅密集地だったが、焼け野原のような光景が広がる

 渋滞を迂回しようと海岸線の道路に回ると、そこは一面の焼け野原。津波が引いた後も重油などに引火して延焼が続いたため、黒焦げた鉄骨や自動車が爆撃を受けたかのように山積みとなっている。海岸線近くは地盤沈下の影響で今でも水が引いていない。

 旧北上川にかかる巨大な橋を渡ると、広い道路の海側に魚市場や水産加工の工場があるエリアが延々と続く。構造物は残っているが、中は流され、腐った水産物が異臭を放っていた。ぐにゃりとへし折れた信号機に、転がる大型のタンク。廃墟と化したエリアの少し先に、取り残されたように渡波中はあった。

■電球4個分のバッテリーで暮らす避難所

海沿いに建つ石巻市立渡波中学校は校舎の2階まで津波が浸水した
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海沿いに建つ石巻市立渡波中学校は校舎の2階まで津波が浸水した

 訪れたのは4月6日の夕方。校庭には流されたクルマが無残な姿で転がり、校舎の時計は3時58分で止まっていた。すぐそばは海。津波は校舎の2階部分も打ち抜いた。人が住んでいるとは思えない校舎の3階に、約60人ほどの避難者が暮らしていた。

 印象は「暗い」。10日現在も、自家発電機や電源車はなく、東北大学の高橋英志准教授が石巻市に提供しているバッテリーがあるだけだ。4つの電球まで電線を伸ばし、わずかな明かりを午後5時30分から午後9時まで灯す。それ以上は持たない。石巻市の職員1人のみが支援者として常駐し、1日1回の交代のタイミングで充電されたバッテリーを持ってくる。

バッテリーにつながれた電球4個がかろうじて明かりを保つ
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バッテリーにつながれた電球4個がかろうじて明かりを保つ

 給水車からの水は被災者自身が3階までバケツリレーをして運ぶ。その貴重な水を使って被災者がトイレ掃除や自炊を行う。もちろん、風呂もテレビもない。食料物資は配給されているが、1日2食が続く。10日の夕食は、自炊した味噌汁におにぎりとパン。おかずと呼べるようなものはない。ジャージ姿で泊まり番を務めていた石巻市職員の末永英久氏はこう言った。

 「電池がほしいですね。欲を言えば自家発電機やお湯をためておくポットも。とにかく電気と水道がないのが不便だし、衛生状態が気になる」。交代した別の職員は、複雑な胸中を明かした。「避難所運営も大事だけれど、正直、復興に向けた公共業務を優先させたいというジレンマもある。ボランティアの方に見ていただければ、本当に助かる」

■バラエティー番組を映す液晶テレビ

 じつは渡波中の前を通る国道をわずか1.5キロメートルほど東へ行ったところにある渡波小学校の状況はまったく異なる。ここも津波の被害に襲われたが、約700人が暮らす大規模避難所で、早くから自衛隊やボランティアらによる清掃や炊き出しなどの支援活動が進んだ。4月4日には常駐しているNGO(非政府組織)が子ども向けの「プレイルーム」を設置し、7日はタレントの田中義剛さんらが訪れ、生キャラメル菓子やTシャツなどを被災者に配った。

石巻市立青葉中学校の正面入り口には、神奈川県や鳥取県から派遣された職員や看護師が常駐する
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石巻市立青葉中学校の正面入り口には、神奈川県や鳥取県から派遣された職員や看護師が常駐する

 渡波中から西に約9キロ、クルマで20分ほどの距離にある避難所、青葉中学校の支援も手厚い。ピーク時は1000人以上、訪れた時は700人弱が体育館や教室で暮らしていた。教職員と、神奈川県などから派遣された職員が避難所運営を切り盛りし、日本看護協会から派遣された3~4人が衛生面や医療面の世話を見ている。校庭には自衛隊の炊き出し車や米軍が設置したコンテナ型のシャワー設備が並び、兵庫県西宮市内の小学生らが贈った約50匹のこいのぼりがたなびいていた。

 青葉中はやや内陸部にあるため、津波の被害は及んでおらず、電気は復旧済みだ。夜でも明るい玄関の下駄箱前には大型の液晶テレビ2台が置かれ、バラエティー番組が映されていた。そのそばには衣料品が山のように置かれ、いつでも自由に選ぶことができる。直前に暗い渡波中を訪れていただけに、そのコントラストが際だって見えた。

 震災翌日に入院中だった夫を停電の影響で亡くし、今は単身で暗い渡波中に身を寄せる73歳の女性に「渡波小や青葉中はもっと恵まれていますよ。移らないんですか」と聞くと、こう答えた。「そうなんですか?知りませんでした。でも、最初に比べれば恵まれた状態。水もご飯も明かりもなかった。今はラジオが聴けて、わーうれしいなって……」

■阪神大震災の教訓生かせず

 こうした小規模な避難所こそ、NGOやNPO(非営利組織)などのボランティアが網の目のように支えているのかと思いきや、そうはなっていない。彼らですら、大規模避難所へと吸い寄せられるように向かう。

 「マスコミの報道に偏りがあったため、よく報道された避難所にはボランティア、救援物資が多く集まるなど、避難所間の格差が生じた」――。内閣府が2000年にまとめた「阪神・淡路大震災教訓情報資料集」の「避難所の運営と管理」という項目に、震災支援の教訓としてこう記されている。そして、参考文献からの引用が続く。

 「テレビ・新聞の各社が毎日のようにやってくるようになった。新宿サリン事件が起きてしばらくは全く来なくなったが、その後も一部の新聞社は毎日のように取材にやってくる。その避難所では大変よい対応をしてくれた。おそらくマスコミ報道を見て、遠方からもボランティアが来たり、義援金が送られてきたりした」。今回の震災も、同じことが起きている。

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