2011年4月16日3時7分
東京電力福島第一原発の事故をめぐり、朝日新聞が全国の10電力会社などに安全対策に関する調査を実施したところ、大半が事故前、長期間の電源喪失など第一原発レベルの事故に対応する態勢をとっていなかったことが分かった。第一原発で被害を拡大させた疑いがある安全設計上の問題を同様に抱える原発が多数あったことも判明。各電力では、津波対策などに乗り出している。
調査対象は、国内の17商業用原発で54基の原子炉を運転する計10電力と、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)を運転する日本原子力研究開発機構。福島第一原発事故前の(1)炉心溶融などの過酷事故の想定や訓練(2)全電源喪失時のバックアップ態勢(3)非常用ディーゼル発電機や海水ポンプの設置状態――について調べた。
(1)では、10電力のうち東京、東北、中部各電力など7社と同機構が事故の際、非常用バッテリーが動く5〜8時間で外部電源などが復旧すると想定。第一原発事故で起きたような数日間にわたる長期全電源喪失への対策や訓練はなかった。
(2)では、福島第一原発事故の前は、関西電力を除く9社と同機構は、原発内や付近に、外部電源などの喪失に備えた電源車を配備していなかった。