余震頻発 スマトラ沖地震と構造類似 「広域・数年」要注意
産経新聞 4月15日(金)7時57分配信
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東日本大震災の主な余震(写真:産経新聞) |
◆チリとは相違点
東日本大震災ではM7級の余震がすでに5回起きた。東大地震研究所の分析によると、このうち本震と直接関係がある余震は、震源域の中で起きた2回だ。
同様の条件で過去の世界の巨大地震についてM7級の余震を調べたところ、スマトラ沖地震では6回起き、最も遅かった昨年6月に最大のM7・5が発生した。巨大地震の後にM7級の余震が続くのは、決して珍しくないことが分かる。
一方、世界最大の1960年のチリ地震(M9・5)のM7級余震は3回だけで、昨年のチリ地震(M8・8)ではゼロだった。
日本とスマトラはプレート(岩板)の沈み込み帯に形成された列島で、構造が似ているのに対し、チリは大陸山脈の下にプレートが沈み込んでおり、この違いが影響しているらしい。
同研究所の大木聖子助教は「東日本大震災の余震はスマトラ沖地震に近いタイプとみられる。頻度は減っても大きな余震が起きる可能性があり、数年単位で注意が必要だ」と話す。
◆内陸部でも誘発
東日本大震災の余震のもう一つの特徴は、震源域から遠く離れた場所でも規模の大きな活動があることだ。秋田県沖、長野県北部、静岡県東部でM6級が起きた。
今回の巨大地震は太平洋プレートが北米プレートの下に沈み込んで起きた。北米プレートに乗っている東北地方の地殻は、普段は太平洋プレートに東から押されているが、巨大地震でこの力がはずれ、東へ戻るように引っ張られた。
この影響を受け、ひずみが蓄積していた内陸などで新たな地震が誘発された。「広義の余震」とも呼ばれるこの誘発地震は、北米プレートの縁に沿ってM6級が起きており、関東・中部を含む東日本全域に影響が及んだ様子がうかがえる。
地震・防災関係者が最も懸念するのは、甚大な被害が予想される首都直下型地震が誘発される可能性だ。
海溝型地震の後に直下型が誘発されたケースは、東南海地震(昭和19年)後の三河地震(M6・8)や福井地震(M7・1)がある。今回の巨大地震との類似性が指摘されている貞観地震(869年)の9年後にも、首都直下型の「関東諸国の地震」(M7・4)が起きた。
東大地震研の平田直教授は「首都直下型が誘発されるかは分からないが、大きな地震は東日本全体で起きる可能性があり、首都圏も含まれる。首都直下型の発生確率は30年以内に70%とすでに十分高く、耐震補強や家具固定などの対策が重要だ」と話している。
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最終更新:4月15日(金)7時57分
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