【北陸発】「能登西方沖地震も注意」 加賀地方津波 想定の2倍超2011年4月15日 県の防災計画外金大准教授ら指摘東日本大震災に伴い各地で津波対策の強化が求められる中、石川県の地域防災計画について、将来的な津波被害を防ぐために能登半島西方沖の地震も想定すべきだとの指摘が地震学者から上がっている。西方沖で地震が起きた場合、加賀地方で予想される津波は今の想定の二倍以上になる恐れがあり、対策の全面的な見直しを迫られそうだ。 県の地域防災計画は、大聖寺、加賀平野、邑知潟、能登半島北方沖、同東方沖の五つの大地震を想定。津波については、東方沖地震により最高十一メートル(珠洲市)を予測し、能登地方で約三千棟の家屋が流出する恐れがあるとしている。 これに対し地震学の平松良浩金沢大准教授や古本宗充名古屋大教授は、能登半島西方沖も震源域として注目。大きな津波は水深の深い場所で地震が起きた場合に発生する。急に水深が深くなっている海底は活断層の存在が推定され、津波の発生場所になる可能性が高い。能登半島西方七十〜八十キロ沖の水深千〜二千メートルの区域はその条件を満たすという。 津波を発生させた地震が西方沖で起きたという記録や痕跡はなく、地震規模や津波の高さは推論になるが、平松准教授は東方沖と同じ規模のマグニチュード(M)7・8で、震源域の広さも同程度とするのが妥当だと指摘する。 古本教授によると、その場合の津波の高さは加賀地方で五〜六メートルになる恐れがある。県の地域防災計画が東方沖地震で予測する波高の二〜三倍だ。また平松准教授は、志賀原発がある志賀町でも、北陸電力が想定する五メートル(満潮時)を超える可能性があるとみる。 ただ、二人によると、東方沖や西方沖で地震が起きる確率は東海・東南海地震が迫る太平洋側に比べて格段に低い。 平松准教授は「津波に関していえば、東海・東南海地震ほど差し迫ってはいないが、できる限りの想定はした方がいい。特に、加賀地方は津波に対する危機感が薄い」と警鐘を鳴らす。 (大森雅弥)
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