東京電力は、福島第一原子力発電所から流出した放射性物質が海で広がるのを抑える対策の一つとして、汚染水が流出した場所の周辺に、放射性セシウムを吸着する効果がある「ゼオライト」という鉱物の投入を始めました。
福島第一原発では、今月2日、高濃度の放射性物質に汚染された水が2号機の海沿いの施設付近から流出しているのが見つかり、東京電力は、流出を止める工事を行うとともに、ほかに流出している場所がないか調べています。原発周辺の海水や福島県沖や茨城県沖でとれたコウナゴという魚からは、放射性物質が通常より高い濃度で検出されていて、海の環境への影響が懸念されています。このため東京電力は放射性物質が海で広がるのを抑える対策の一つとして、汚染水が流出した場所の周辺に、新たに「ゼオライト」という鉱物を土のうに詰めて投入する作業を15日から始めました。ゼオライトは、汚染物質を吸着する材料として広く使われていて、今回は、半減期が30年と長く環境中に残るおそれのあるセシウム137などを取り込むことが期待されています。東京電力は、原発の取水口の近くに100キロのゼオライトを詰めた土のうを合わせて10個投入する予定で、定期的に引き上げて、表面の放射線量を測り、効果を確認するとしています。放射性物質が海で広がるのを抑える対策として、東京電力はこのほか、原発近くで、「シルトフェンス」と呼ばれるカーテン状のフェンスと、「止水板」と呼ばれる金属の板を設置しています。