教科書や鍵盤ハーモニカ、絵、写真などが散乱した校舎。そこにはがれきをかき分け、児童たちの遺留品をみつけて涙する親の姿があった。北上川の河口にある宮城県石巻市立大川小学校は、地震で校庭に大半の生徒と教職員が避難していたところを津波にのみこまれた。23日現在、全校生徒108人のうち、21人が死亡、56人が行方不明になっている。教職員は、13人のうち1人が死亡、9人が行方不明。消防隊員らによる懸命の捜索が今も続いている。
ステンドグラスが施されたホールは面影もなく崩壊していた。校舎と体育館をつないでいた2階の渡り廊下もねじれたように落ちていた。校舎内は腰の高さほどまで土砂で埋まり、津波で押し流されてきたがれきが散乱していた。音楽室のピアノはひっくり返り、4本の足をつき上げていた。
毎日のように遺体が見つかる。
「ケンちゃん、ケンちゃん。苦しかっただろう。ケンちゃん、ケンちゃん。ゴメンな」。ビニールシートに包まれて運ばれてきた子供の姿を確認した親の悲痛な声が響く。近くには、捜索隊が持ち帰った泥だらけのランドセルやピアニカ、学習用具などが山積になっている。
「少しでも子供の思い出が見つかれば」と山積の遺留品の中から懸命に自分の子供の写真を探していた母親(37)がいた。小6の長女(12)と小3(9)の長男を失ったという。「学校で避難したと聞いて、安心していたが…。泣くしかできない」と唇をかんだ。(写真報道局 松本健吾)
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