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東日本大震災:県内観光地が地震余波で苦境、宿泊「8割キャンセル」/箱根

2011年4月3日

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3月12日の予約客リストを眺める山田さん。この日だけで12組がキャンセルした=箱根町強羅の「山田家」

3月12日の予約客リストを眺める山田さん。この日だけで12組がキャンセルした=箱根町強羅の「山田家」

 県内屈指の観光地・箱根が苦境に陥っている。震災の余波で宿泊施設のキャンセルが相次ぎ、自粛ムードから新規の客は激減。福島第1原発事故の影響から外国人客も途絶えた。計画停電が始まり、大動脈の小田急ロマンスカーは運行再開の見通しが立たない。「かつてない非常事態」に観光業界からは悲鳴が聞こえてくる。

 箱根町強羅の温泉旅館「白湯(しらゆ)の宿 山田家」。厳しい現状に2代目社長の山田敏理さん(57)は唇をかむ。15室ある客室は「3月なら常に8、9割は埋まる」。震災翌日の12日も予約は満杯だった。

 しかし地震直後からキャンセルを告げる電話が鳴りやまず、多い日は30件を超えた。12日も残ったのは3組だけ。稼働率はすぐに3割を切った。追い打ちをかけたのが計画停電。「心配して旅行を躊躇(ちゅうちょ)する客が後を絶たない」という。

 傘下の旅館も合わせて損失額はすでに1千万円以上に膨らんだ。スタッフ約30人には何とか3月分の給料を全額手渡したが、茶封筒には「4月は覚悟してほしい」と添えた。山田さんは無給で耐えたものの「家族のことを考えるとつらい」と胸の内を明かす。

 年間約30万人が訪れる外国人の動向も厳しい。箱根湯本駅前の観光案内所には、書き入れ時だった3月の3連休中ですら外国人が一人も来ない日があったという。地図を片手に町中を歩く姿もめっきり見られなくなった。長引く原発事故が尾を引いている。

 「ロマンスカーが動かないと商売上がったりだ」。閑散とした湯本駅前でタクシー運転手が嘆いた。新宿と箱根を約90分で結ぶロマンスカー。小田急電鉄によると、本数は上下線合わせて1日約50本、利用客は多い月で約20万人になるという。

 だが計画停電のあおりで運休が続き、「再開のめどが立たない」(小田急)のが実情。到着に合わせて送迎車を走らせる旅館もあり、復活を待ち望む声は切実だ。

 町は1日から、被災者の受け入れを町内121の宿泊施設でスタートさせた。1人1泊5千円の補助金を町が請け負い、施設が3食を提供する。「やすらぎを感じてもらう」ことが目的だが、空室が目立つホテル・旅館の救済策でもある。

 従業員を自宅待機させたり、4月いっぱい休業したりと、どの旅館からも窮状が漏れ伝わる。町観光課は「震災以降、少なくとも宿泊予約客の80%がキャンセルした」と推測している。



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