【NQNニューヨーク=増永裕樹】12日のニューヨーク外国為替市場で円相場は4日続伸し、前日比1円5銭円高・ドル安の1ドル=83円50~60銭で取引を終えた。株式などリスク資産を回避する動きが強まる中、金利の低い円で資金調達し高金利通貨などで運用していた投資家が持ち高を整理。円を買い戻す動きが広がった。米財政状況への懸念もドルの重荷になり、円を押し上げた。
日本政府が12日、福島第1原子力発電所で発生した事故の深刻度を示す国際評価尺度をチェルノブイリ事故と同じ「レベル7」に引き上げた。経済活動に与える悪影響への懸念が強まり、投資家がリスク資産を整理する動きを加速。資金調達時に積み上げた円売りの持ち高を解消する動きを誘った。
米国家財政への警戒感も円買い・ドル売りの動きを呼び込む一因となった。2011会計年度予算を巡る前週末の協議が難航するなど、オバマ大統領と米議会が対立する構図が鮮明。連邦債務が法定上限に達するのが時間の問題となる中、市場では予算執行などに支障が出るとの懸念が浮上。行政の停滞リスクへの意識が高まり、ドル買いに慎重な雰囲気が強まった。
12日朝発表の2月の米貿易収支で、輸出入額がともに前月から減少。米景気伸び悩みへの警戒感が広がったこともあり、円は83円52銭まで上昇する場面があった。安値は84円30銭だった。
円は対ユーロで続伸し、前日比1円10銭円高・ユーロ安の1ユーロ=120円95銭~121円05銭で終えた。対ドルでの円買いの動きが波及し、円買い・ユーロ売りが優勢となった。
ユーロは対ドルで反発し、前日終値の1ユーロ=1.44ドル台前半から、1.44ドル後半に水準を切り上げた。欧州中央銀行(ECB)が早期追加利上げに踏み切るとの見方が引き続きユーロ買いの背景。ユーロは一時1.4520ドルまで買われ、昨年1月14日以来ほぼ1年3カ月ぶりのユーロ高・ドル安水準を付けた。ユーロの安値は1.4438ドルだった。
カナダドルは対米ドルで下落し、前日夕の1米ドル=0.95カナダドル台後半から、0.96カナダドル台前半に水準を下げた。カナダ銀行(中央銀行)が12日朝、政策金利の据え置き決定と同時に公表した声明で、市場予想よりも景気の先行きに慎重な見方を示した。利上げ再開の可能性が後退したとして、売りが優勢となった。
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日経平均(円) | 9,602.03 | -51.89 | 15日 14:44 |
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NYダウ(ドル) | 12,285.15 | +14.16 | 14日 16:30 |
英FTSE100 | 5,963.80 | -46.64 | 14日 16:35 |
ドル/円 | 83.41 - .46 | -0.06円高 | 15日 14:23 |
ユーロ/円 | 120.74 - .76 | -0.28円高 | 15日 14:23 |
長期金利(%) | 1.270 | -0.020 | 15日 13:45 |
NY原油(ドル) | 108.11 | +1.00 | 14日 終値 |
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