松井先制２号で５００号にＭ５　現行ア・リーグ球場全制覇

　右も左も関係ない。アスレチックスの松井秀喜外野手（３６）は１３日（日本時間１４日）のホワイトソックス戦に５番指名打者で出場し、先発左腕ダンクスから３試合ぶりの２号先制ソロを中越えに放ち、現行のア・リーグ全本拠地本塁打を記録した。また、メジャー通算１６３本とし、日米通算５００本塁打（日＝３３２）まであと５本。松井は９回に同点につなげる安打を放ち、２試合連続マルチで２安打１打点。代走で退いた後、チームは９回２死の土壇場で追い付き、延長１０回に勝ち越して勝率を５割に戻した。

　青く晴れ渡ったシカゴの空にきれいな放物線が描かれた。滞空時間の長い飛球が右中間最深部へと飛んでいく。両チーム無得点で迎えた４回１死で、自身ＵＳセルラーフィールド第１号は推定４０７フィート（約１２５メートル）の豪快先制ソロだ。現行のア・リーグ全球場を制覇する当たり。しかも、相手先発は過去７打数１安打と苦手としてきた左腕ダンクス。緊迫した投手戦が続く中で、左腕からの貴重な一発に、松井も「先取点が欲しいところだった。いい打撃だったし、手応えは良かった。入ると思った」と満面の笑みを見せた。

　９回にも貴重な一打を放った。ウィリンハムの適時打で１点を返し、なおも無死一塁から、右前へしっかりとはじき返した。２死満塁からペニントンの適時打で、松井の代走クリスプが同点のホームを踏み、１０回にはクリスプの決勝打などで３得点と鮮やかな逆転勝ちだ。前日の３安打に続く、今季初の２試合連続マルチに、５５番は「質の高い打撃をできるかで、結果が分かれる」と自ら好調ぶりを説明した。

　この日は、休養の可能性もあった。前日に背中を痛めたクリスプの状態を把握するのに時間がかかり、なかなか先発メンバーが発表されない。数人の選手が何回も先発が決まったかどうか確認する中、最後に球場に現れたのが松井。悠然といつも通り試合への準備を整え、結果を出した。

　チームは今季初遠征の９連戦を５勝４敗と勝ち越し、勝率５割で気分よく地元オークランドへと戻った。松井も「いい攻撃が出始めた。この先楽しみ」とチームへの期待を口にする。日米通算５００号へもあと５本と迫るなか、チームリーダーがチームに勝利を呼び込む。　（穐村賢）