日本相撲協会が14日、両国国技館で臨時理事会を開き、八百長に関与したとして出された引退勧告に従わなかった幕内蒼国来(27)=荒汐部屋=と十両星風(27)=尾車部屋=を解雇した。当初、この問題で解雇された力士には退職金が出ないと見られていたが、理事会は2人に退職金を支給することを決定。渋々、勧告に従った元力士からは場当たり的な協会の対応に怒りの声が上がった。
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泣く泣く引退勧告を受け入れた力士には不可解な決定だった。解雇されたにもかかわらず蒼国来には529万円、星風には220万円の退職金満額支払いが決まったのだ。引退勧告に従ったある元力士は「本当ですか?全然、話が違う。お金で口を封じようと思っているんですかね」と憤った。
引退勧告と解雇の違いは退職金の有無と考えられてきた。蒼国来、星風はともに退職金が出ないことを覚悟していたし、1日に処分された元力士らは「当面の生活費」と「名誉」を考慮し、勤続年数が短く親方としての退職金が当初からなかった元谷川親方(元小結海鵬)以外の20人中19人が引退届を提出した。
規定では解雇した協会員について、理事会は退職金を減額したり、支払わないことを決められるとある。二所ノ関広報部長(元関脇金剛)は「おかしいという声もあった」としたが最終的には支払うことでまとまった。ある役員は「温情ですよ。口止め料というわけではない」と振り返ったが、不透明さは残った。
蒼国来は「受け取るつもりはありません。そういう問題じゃないので」とした。星風は代理人の北村晴男弁護士が「現時点では退職金として受領するつもりはない。4、5月分の給料として受領する」とした。協会相手の訴訟を明言しており、お金を受け取りつつ法廷闘争を繰り広げる事態になる。
勧告に従った元力士には「従わなければ退職金は出ない」と調査員に言われたと主張する者もいる。放駒理事長(元大関魁傑)は「最初から処分と退職金は別と考えていた」と釈明したが“後出しじゃんけん”のような印象はぬぐえない。
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