'11/4/15
学校耐震化、震災で先送りも
全国の自治体が2011年度中に耐震化を求めている公立小中学校施設約千棟について、予算のめどが立たなくなっている。東日本大震災の復旧費が大きく膨らみ、第1次補正予算案に耐震化費用を盛り込む余裕が政府にないのが理由だ。野党は「いつ次の震災が起こるか分からない」と早期の予算確保を求めるが、展望は開けていない。
文部科学省は昨年6月、自治体に学校耐震化の意向を調査。11年度分として約5200棟の要望があり、10年度の補正予算や予備費活用で一部を前倒ししたほか、11年度当初予算でも約800億円を充てて実施可能とした。しかし、今年2月の再調査で約千棟の追加要望があり、費用約340億円を手当てする必要性が浮上。その直後に震災が起きた。
野党は国会審議で「夏休みに工事ができるよう、1次補正に盛り込むべきだ」と千棟分の予算を要求。しかし政府は「1次補正は被災地の復興が第一。資源を集中的に投下すべきだ」(尾立源幸財務政務官)と計上見送りを示唆し、年度内の耐震化実施が見送られる可能性が高まっている。
東京都は学校耐震化約80件で国の補助のめどが立っていない。都教育委員会の担当者は「12年度中に耐震化率100%を目指す都の計画に遅れが生じる。震災の後で耐震化にブレーキがかかるとは」と困惑する。
今回の震災では多い時で1都10県の約620校が避難所となるなど学校は防災拠点になった。「学校耐震化も後回しにできない。被災自治体は財政的に大きな打撃を受けており、幅広い支援を」(岩手県教委)と被災地も予算確保を求めるが、政府の財政難の壁を越えられるかは不透明だ。