東日本大震災で被災した福島第1原発1~4号機の廃炉について、同原発の建設に携わった東芝の佐々木則夫社長は14日、「最短10年で撤去し、更地に戻す」との廃炉計画を東京電力や経済産業省に提案したことを明らかにした。米スリーマイル島の原発事故処理の経験を持つ米原発機器メーカー「バブコック&ウィルコックス(B&W)」や、東芝子会社である米ウェスチングハウス(WH)などとともに計画をまとめた。
計画案によると、今年10月ごろまでに原子炉を安定的な冷却状態に持ち込み、外部施設や周辺のがれき撤去などを行う。最短で5年後に原子炉圧力容器内の破損した燃料棒の取り出し作業に着手。その後、建屋や圧力容器も撤去し、最短で10年後の20年に更地に戻せるとしている。原子炉内の状態も踏まえ、東電などと連携し詳細を詰める。
東芝はWHやB&Wなどから技術者派遣を受け、1400人体制で福島第1原発の事故処理支援にあたっており、廃炉計画も共同で策定した。
原発の廃炉には20~30年程度かかることも珍しくないが、佐々木社長は「工程の進み方で16年程度に延びる可能性はあるが、米国では同規模の原発を7年で解体した実績もある」と強調した。【弘田恭子】
毎日新聞 2011年4月15日 東京朝刊