2011年3月1日 20時44分 更新:3月2日 0時59分
【テヘラン鵜塚健】イランの首都テヘランなどで1日午後(日本時間夜)、アフマディネジャド政権に抗議する市民ら数千人が集結し、デモ行進した。治安部隊は催涙ガスを発射、参加者の一部と衝突。当局はテヘランで5人、第2の都市マシャドで10人を拘束した。イランでは先月14日と20日にも大規模デモがあり、当局が抑え込んで市民3人が死亡している。当局は今回も市民に対し強硬姿勢で臨んだ。
目撃者によると、市内の主要な広場にそれぞれ数百人規模の市民が集まり「独裁者に死を」などと叫んだ。改革派ウェブサイトによると、テヘラン大学前やアザディ広場、エンゲラブ広場などで市民と治安部隊が衝突。警察車両2台がデモ参加者に焼かれた。
しかし、国営紙の電子版は「テヘラン市内は平穏」と報じた。
デモはインターネットの交流サイト「フェイスブック」で呼びかけられた。先月14日以降のデモを主導した改革派指導者ムサビ元首相やカルビ元国会議長らが自宅軟禁されたことへの抗議が狙い。2月28日には両氏がテヘラン東部の拘置所へ移送されたとの情報が流れていた。司法当局は拘束を否定した。
カルビ氏に近い男性は毎日新聞の取材に「通信手段が遮断され、家族も自宅に近づけないため、カルビ氏の所在は不明だ」と語った。AFP通信によると、米ホワイトハウスのカーニー報道官は28日、「拘束は受け入れがたい」と非難した。
イランでは09年6月の大統領選の開票を巡る混乱を機に、政権を握る保守派と改革派による対立が深刻化。改革派支持の市民に加え、物価上昇に苦しむ市民にも政府への不満が広がっている。