'11/4/15
被ばく量最大は東電社員198ミリシーベルト
福島第1原発の作業員のうち事故後に累積した被ばく放射線量が最大の198・24ミリシーベルトだったのは東京電力社員で、使用済み燃料プールの注水や格納容器から蒸気を出し圧力を下げるベントなどのうち複数の作業をしていたことが14日、経済産業省原子力安全・保安院への取材で分かった。
保安院や東電によると、この社員は既に作業を離れている。厚生労働省が100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに線量上限を引き上げたのを受け、東電は200ミリシーベルトを交代の目安に設定。ほかにも150ミリシーベルト以上被ばくしている東電社員が数人おり、ぎりぎりの条件下で作業が続いていることを示している。
保安院などによると、従来の上限である100ミリシーベルトを超えた作業員は13日までに28人に上り、うち東電社員は25人。注水作業やベント、タービン建屋などの放射線量測定に従事している。
ほか3人は、3月24日に3号機のタービン建屋地下で被ばくした東電の「協力企業」の関電工と下請けの男性で、外部被ばくの線量は173〜180ミリシーベルトだった。
線量上限引き上げは延べ作業時間を延ばすのが目的で、福島第1原発での作業に限定。多くの企業は従来基準に従っているが、東電は新基準を適用した上で、現場では200ミリシーベルトを超えないよう交代させているという。
作業員の被ばくについて、厚労省は線量が上限に達しても「身体的な影響はない」としているが、小宮山洋子厚労副大臣は4月13日の衆院厚生労働委員会で「白血球の減少などについて長期的なフォローが必要だ」と答弁。離職後も含め、健康状態を追跡できる仕組みをつくる考えを示した。