2011年3月1日 16時41分 更新:3月1日 21時55分
民主党は1日、役員会と常任幹事会を開き、11年度予算案が可決された衆院本会議を欠席した16議員のグループ代表者の渡辺浩一郎氏を党員資格停止6カ月とする方針を決め、残り15人は処分ではない厳重注意とした。渡辺氏の処分は党倫理委員会の意見を聴取した上で、来週の常任幹事会で決める。予算案採決の造反という「反党行為」(前原誠司外相)にもかかわらず、党分裂につながることを恐れ重い処分は科さなかった。
菅直人首相は1日夜、首相官邸で記者団に「(16人は)自分たちの行動をどうするのか考えるいい機会ではないか」と述べ、予算関連法案の採決では造反しないよう求めた。
役員会で決めた処分理由は、16人が再び造反すれば「より厳重に対処する」と明記。岡田克也幹事長も「また起きればさらに厳しい対応をする」と強調した。予算関連法案の採決の際に造反を最小限に食い止める狙いから、渡辺氏だけを処分し、15人は厳重注意にとどめたとみられる。
役員会では「処分が甘すぎる」という不満が複数出た。厳重注意にとどめたことに対しても、執行部の指導力欠如を指摘する声が党内から出ている。
一方で、1日の政調幹部の会合で「除籍すると16人は(河村たかし名古屋市長が代表を務める)減税日本と結びつくのではないか」との声が出るなど党分裂を懸念する声も根強い。参院民主役員会でも輿石東参院議員会長が「党分裂は避けないとならない。何をやっても許されるというのも困る。バランスが大事だ」と指摘した。平田健二参院幹事長も会見で「寛大な措置を講じた。再可決で賛成してもらわないといけない。そちらの方が大事だ」と混乱回避を最優先したと説明した。
渡辺氏は1日の会見で関連法案への対応について「先のことだからコメントは控えたい」と造反を示唆。16議員の一人、高松和夫衆院議員は記者団に「処分は覚悟の上。私は菅さんを処分したい」と語った。【野口武則】