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アンジェラ・アキ ライブレポート

アンジェラ・アキ
【ぴあデビューレビュー】

05.09.27(TUE)
Shibuya O-west

SETLIST
01.Never Is A Promise
02.Will You Dance
03.We're All Alone
04.Warning
05.Rain
06.HOME




アンジェラ・アキ
アーティストページ

Live Report:平賀哲雄

 
 ピアノ一台。それだけがステージ上に用意される。その前に悠々と向かって歩き、椅子に腰かけたのは、アンジェラ・アキ。その細い指先で力強く彼女が奏で始め、歌い始めたナンバーは『Never Is A Promise』。ピアノとアンジェラだけが存在するステージに釘付けになるオーディエンス。誰もが凄まじい集中力でもって彼女の姿とピアノ、その歌声に見入って、聴き入っていた。続いては、誰もが知るあの名曲『Will You Dance』を日本語カバーで披露。大概の場合、こういった曲を日本語で歌われたりするとシラけてしまったりするのだが、彼女が持つ圧倒的なオーラを前にしてシラけるものなどいるわけもなく、それどころか、その説得力ある歌声と演奏を聴いていれば彼女がこの曲を日本語で歌う理由も意味もよく分かり、彼女のその全身全霊で“伝えよう”とする姿勢に僕らは感動すら覚える。ていうか、これほどの表現者、世界規模で見てもなかなかいないことに気付き、余計感動する。もはや“J-POP”のカテゴリーを完全に取っ払っていた。

 『Will You Dance』の披露を経て、彼女は水を一飲み。そして自己紹介を始める。アンジェラ・アキは、日本人の父とイタリア系アメリカ人の母のあいだに生まれ、幼い頃からからピアノのレッスンを始め、中学校まで徳島県と岡山県で過ごしていたそうだ。そして、彼女は今朝『めざましテレビ』に出演したそうなのだが、そこでも紹介された、自分が住んでいた徳島県の話を楽しそうにしていた。そんなちょっとノスタルジックな話を経ての『We're All Alone』は、更に僕らの心をその歌声とピアノが生み出す世界に引き込み、胸を締め付けた。ぜひオリジナルを歌っているボズ・スキャッグスに聴かせたいものだ。きっと彼も「Oh!Beautiful!」とか、そんな感じのことを言うに違いない、あまりに天才的な彼女のライブにみんな目も耳も開きっぱなし。

 つづく『Warning』。ジャニス・イアンが彼女のことをベタ褒めしたことも納得させる素直な感情を表現する力。本当に心から楽しんで、テンションが上がって、それをちゃんと音楽として表現している。その感情表現の素晴らしさをより感じさせたのが『Rain』。その歌を聴きながらアンジェラのリアルな生活、人生を見ているような感覚を覚えさせる。想いのない言葉は歌えない、きっと彼女はそういうタイプのアーティストなんだろう。そういったアーティストは他にももちろんいるのだが、彼女の場合はそれが揺るぐことなく、絶対的というか、とにかく感情がその歌から感じとれない瞬間が全くないのだ。

 彼女をいつでも愛し続けたおばあちゃんの話を時に嬉しそうに、時に悲しそうに語るアンジェラ。そして今は天国にいるおばあちゃん、そして家族への想いを『HOME』で歌い綴る。なんて光に溢れた曲なんだろう。こんな音楽が、そしてこんな音楽を生める、表現できるアーティストがこうして存在することに僕(ら)は、希望を見ることが出来た。僕はそんなアンジェラ・アキという表現者との出会いを大事にしていきたい思う。

 
 

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