入試ネット投稿:共通受験者照合へ 京大、捜査機関に依頼

2011年3月1日 11時46分

 京都大など京都と東京の4大学の入試問題が試験時間中にインターネットの質問掲示板「ヤフー知恵袋」に投稿された事件で、京大は1日、漏えいした入試に共通する受験者の照合を捜査機関に委ねる方針を固めた。京都府警は警視庁と連携、4大学に受験者情報の提出を求めるなどして捜査するとみられる。また、京大は不審な受験者がいなかったかを調べるため、試験監督から聞き取りすることを決めた。

 投稿されたのは、2月8日の同志社大文・経済学部共通の英語▽同11日の立教大文学部の英語▽12日の早稲田大文化構想学部の英語▽25日の京大の文系数学と26日の英語だった。

 いずれも難関とされる大学の文系の問題で、投稿者名も全て同じ「aicezuki」だったことから、同一の受験者の可能性が浮上。京大や同志社大は各大学間で照合し、共通の受験者がいないか調べる作業の必要性を検討した。

 しかし、京大は個人情報保護の観点から、大学当局で情報を突き合わせることは不適切と判断。捜査に委ねることを決めた。合格発表も終わっている同志社大は大学間の連携で早期に作業を進めたい意向で、両大学間で対応を調整する可能性もある。

 一方、投稿や寄せられた回答の確認がトイレで行われた疑いも指摘されているが、京大には入試時間中にトイレに立った受験者の受験番号や入退室の時間を記録する規定がなかったことが大学への取材で判明。試験監督からの聞き取りは記憶頼みで、不審な受験者の特定は難航するとみられる。

 京大では、40人程度の受験者を収容する教室には2~3人、一番大きい300人弱の教室には10人程度の試験監督を配置。監督は教授から助教まで全て教員で、漏えいした文系数学では約120人、英語では約400人(人数は延べ)が担当した。

 試験監督は、カンニングなど不審な動きがないか監視するため、机の間を巡回。受験生がトイレに立つ際には一緒についていくが、誰がいつからいつまでトイレに立っていたか記録していない。

 試験監督経験のある京大理事は「そこまで記録するとプライバシーの問題がある。頻繁に室内を回ればいいという声もあるが、試験後に受験生から『集中できなかった』と苦情が出る恐れもある」と打ち明ける。【広瀬登、林哲平】

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