2011年3月1日 10時2分 更新:3月1日 12時45分
一般会計総額92兆4116億円の11年度予算案は1日未明の衆院本会議で民主、国民新の与党などの賛成多数で可決され、参院に送付された。憲法の規定により、30日後に自然成立するため、年度内成立が確定した。民主党の小沢一郎元代表の党員資格停止処分に反発して会派離脱届を提出した渡辺浩一郎氏ら同党衆院議員16人は全員、採決を欠席した。賛成は295票で、予算関連法案成立に向け衆院再可決に必要な3分の2(318議席)には届かなかった。党執行部は午後、臨時の役員会と常任幹事会を開き16人の処分を提起する方針だ。菅直人首相の求心力低下は避けられない。
菅首相は1日未明、予算案の衆院通過を受け国会内で記者団に「本当によかった。参院でもしっかり議論を進めたい」と語った。一方、16人の本会議欠席については「残念だ」と述べるにとどめた。
11年度予算案は財源の4割超を予算関連法案が担保しているが、同法案は参院での成立の見通しが立っていない。衆院3分の2の確保もおぼつかなく、民主党は同関連法案の子ども手当法案や特例公債法案の衆院採決を先送りした。今後は野党との修正協議に全力を挙げるが、反発を強める野党からの協力の取り付けは厳しい情勢だ。
小沢元代表と、元代表の処分に抗議辞任した松木謙公前農水政務官は本会議に出席して賛成票を投じた。16人以外の欠席は公務出張中の山花郁夫外務政務官と高齢の羽田孜元首相の2人。民主党を離党した石川知裕、中島正純両衆院議員は出席して賛成した。
民主党の岡田克也幹事長は予算案可決後、欠席した16人について「国会議員としての最低限の責任を果たしてもらえず大変残念だ。(処分は)常任幹事会で議論する」と厳しく対処する考えを強調。「(16人は)比例代表の議員であり、民主党と書いた有権者に申し訳ない」と述べた。
党内では「予算案への造反は内閣不信任案に賛成したも同然だ」(幹部)との声も強い。一方、離脱グループに近い松木氏は「すぐに処分せず(16人の)言い分を聞いてもらいたい」と述べた。【横田愛、青木純】