|
きょうのコラム「時鐘」 2011年4月14日
東北新幹線は被災から1カ月余で東京―福島間が、不定期ながら開通した。大きな余震のために遅れたが、仙台を中心とした全線復旧も来月はじめに予定されている
1964(昭和39)年に誕生した新幹線と、1967年着工の福島第1原発は同じ40歳代半ばの中年同士だ。ともに日本の科学技術の「安全神話」を守り続けてきた同世代と言ってもいい。だが、双方の評価は大きな違いを見せている 新幹線は、阪神大震災で多くの高架が崩れ線路が断たれたが、早朝で走行車両がなくて大被害を免れた。その教訓から東北新幹線は補強され、中越地震での脱線もレール逸脱防止の教訓を残して今日に至った。偶然と、その後の努力が新幹線には生きている 一方の原発は、臨界事故や中越沖地震での被害はあったが、重大災害を出すほどの経験をしないできた。それが今、取り返しのつかない災いをまき散らしている。小さな事故の積み重ねが、大惨事を防ぐ力になったとも言える 新幹線は、国土の「背骨」として評価が高くなっている。科学技術に完璧はない。安全への努力を重ね続けてもらいたい。 |