天下り:民主党政権で規制機能せず 事実上野放しに

2011年2月28日 20時47分 更新:3月1日 0時32分

 09年衆院選マニフェストで「天下り根絶」を掲げてきた民主党政権で天下り規制が機能せず、事実上野放しになっている。国家公務員OBの再就職の具体例が相次ぎ、天下りを追及する野党側に、政府側は「省庁のあっせんがないので『天下り』ではない」と釈明。OBの再就職を監視する機関もなく、マニフェストの空文化が加速している。【田中成之、吉永康朗】

 与野党が対決した衆院予算委員会で、天下り問題は主要な争点となった。2月28日夜の審議でも、みんなの党の浅尾慶一郎政調会長が11年度予算案の反対討論の中で「増税の前に政治家が先頭に立ち、議員や公務員の削減、給与カット、天下りの禁止に取り組むべきだ」と指摘した。

 自民党の平将明衆院議員は2月23日の衆院予算委で、09年9月の政権交代後のOBの再就職状況を列挙。約1年間で独立行政法人や公益法人など1040法人の計4240ポストにOBや各省庁職員の現職出向者が就任し、今年1月1日までに民間企業に再就職した審議官級以上のOBが101人に達するとした。

 昨年10月には早期勧奨退職(肩たたき)を受けた公務員1590人中、勧奨を拒否したのは2人だけだったことも判明。野党は「常識ではあり得ず、『裏下り』だ」と批判を強めている。

 民主党政権の天下り規制の不備は深刻だ。自公政権下での「退職前5年間の職務と関係の深い業界への再就職は2年間禁止」というルールさえ存在せず、昨年8月に退官した前資源エネルギー庁長官の東京電力顧問への就任も防げなかった。

 ルール撤廃は07年成立の改正国家公務員法で、再就職の監視・承認を行う「再就職等監視委員会」の設置が決まったことに伴う措置。ただ、野党だった民主党が委員人事に同意せずに政権交代し、監視委は休眠状態だ。

 平氏の追及を受け、中野寛成公務員制度改革担当相は2月23日の予算委で「現在は各大臣が責任を持って監視している」と釈明。しかし、政権交代後も特定の公益法人の役員に同じ省庁のOBが再就職した例も追及され、所管する鹿野道彦農相が「(事前に)承知していなかった」と答弁する場面もあった。

 中野担当相は同委で「監視機能を強化した新たな機関設置を含む法案を今国会に提出する」としたが、法案成立のメドは立ってない。平氏は「霞が関はやりたい放題だ。法律を作るといっても空白期間がこれだけある。今の枠組みで人事を決めれば、すぐ機能するのになぜやらないのか」と批判した。

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