2011年2月28日 19時57分 更新:2月28日 21時58分
ニュージーランドで2月に起きたマグニチュード(M)6.3の地震で、現地入りした地盤工学会の調査団長を務める安田進・東京電機大教授は28日、毎日新聞の電話取材に応じた。安田教授は「エイボン川を中心に液状化現象は約7キロ四方の範囲に及んでいる。地盤が水平方向にずれ動く『流動』も数メートルに及び、建物や橋、下水管などが破壊された。液状化による被害としては、過去に例がないほどの大きさだ」と話した。
安田教授によると、流動とは液状化現象にともない地盤が水平にずれ、ビルのくいが折れたり、橋が破壊されたりする被害を出す。地表に噴き上がった砂の量も多く、約50センチ堆積(たいせき)した場所もあった。
安田教授はクライストチャーチ近郊で昨年9月に起きた地震(M7.0)後にも現地調査した。同市は川が運んだ砂が堆積した軟弱な地盤のため、液状化現象が起きやすいという。だがこれまでも詳細な地盤の調査が行われてこなかったため、昨年の地震でも約4000棟の住宅で生活できなくなった。
安田教授は「今回の地震は昨年に比べ揺れの振幅が数倍大きかった。液状化の範囲は昨年の3~5倍、被害額ではそれ以上に及ぶ可能性がある」と指摘。過去30年以上、液状化の調査を行ってきて最大規模のものという。
液状化は緩く堆積した砂地で地下水が50~100センチと浅い場所で、震度5以上の大きな揺れによって生じる。砂の層全体が液体のように軟化し、地盤沈下や建物が傾いたり、下水道が破断されたりする。【関東晋慈】