1票の格差:参院で最大5.126倍 改革案乱立で難航

2011年2月25日 23時23分

 25日公表の10年国勢調査の速報値で、参院選挙区の「1票の格差」は最大5.126倍となり、昨年11月に東京高裁(南敏文裁判長)が「到底看過できない」として、「違憲」判断を下した水準(5.00倍)を上回った。参院各会派は13年の次期参院選に新制度で臨むため、今国会での公職選挙法改正で合意しているが、有力案の「比例ブロック制」や「合区案」には一長一短がある。各議員の選挙区事情もからみ、改革案が乱立しており、意見集約は難航している。【竹島一登】

 10年国勢調査に基づく議員1人当たりの人口は、最多の神奈川が150万人、最少の鳥取が29万人。5.126倍は前回05年調査(4.842倍)より拡大しただけでなく、06年に実施した「4増4減」の定数是正前の00年調査(4.918倍)も超えた。

 憲法の「3年ごとの半数改選」に基づき定数を偶数配分するため見直しに限度があることに加え、人口の都市集中が進んでいる結果だ。一部判決は許容限度を「3倍以内」としているが、3倍超の選挙区も15に上った。

 西岡武夫参院議長は昨年12月、各会派の選挙制度改革検討会で、比例9ブロックへの再編案を公表した。参院定数242は維持した上で、選挙区を廃止し、ブロックごとに12~44人を非拘束名簿式で選出する。10年国勢調査に当てはめると、最大の格差は東京ブロックの1.195倍で、問題はほぼ解消する。

 ただ、選挙区廃止に対しては、与野党から「地域代表という性格が失われる」と反発が強い。このため、民主党の地方選出議員に浮上したのが、全国単位の比例代表と選挙区を合わせた現行制度を基本とし、人口の少ない隣接県の選挙区を統合する合区案だ。

 民主党の辻泰弘参院議員(兵庫選挙区)が2月に公表した案は、定数2の6選挙区を「石川・福井」「徳島・高知」「島根・鳥取」に合区して定数2とする。一方、京都など定数4の6選挙区を2減、北海道、神奈川、大阪、兵庫の4選挙区で2増とし、最大格差は京都の3.103倍で、3倍超は東京を加えた2選挙区に減る。

 一方、民主党の田中直紀参院議員(新潟選挙区)も長野(定数4)と山梨(同2)を統合して定数4とするなど、最大格差を2.369倍に縮小する私案を公表。合区では参院議員が一人もいない県が出るため、同党の川上義博参院議員(鳥取選挙区)は定数を最大40増やす改革案を示している。

 民主党の岡田克也幹事長と輿石東参院議員会長は25日、国会内で会談し、速報値の公表を受けて党内論議を加速させることを確認した。自民党など野党も独自案を検討している。

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