リビア:金曜礼拝に首都緊迫 カダフィ大佐、全世帯に現金

2011年2月25日 22時1分 更新:2月26日 2時48分

 【カイロ大前仁】リビアの首都トリポリで25日、最高指導者カダフィ大佐を支持する治安部隊が反政府デモ隊に発砲し、少なくとも5人が死亡、多数が負傷した。ロイター通信が伝えた。反政府勢力は同日、イスラム教の金曜礼拝に合わせた大規模デモを各地で呼びかけ、トリポリでは治安部隊が徹底鎮圧の構えを見せていた。デモが激化すれば衝突の拡大は必至で、情勢は一層緊迫してきた。

 トリポリ市民の間では25日、デモ参加を呼びかけるメールが携帯電話で出回った。しかし、金曜礼拝で人々が集まったモスク(イスラム教礼拝所)周辺にはカダフィ支持派の軍や民兵が配備され、物々しい雰囲気に包まれた。国営テレビは、反政府行動を阻止するため、政府がデモ情報の提供者に1件当たり400ドル(約3万3000円)を支払うと伝えた。

 中東の衛星テレビ・アルジャジーラによると、反政府勢力の支配下に入ったリビア第2の都市ベンガジやトブルク、デルナといった東部の主要都市でも反政府デモがあり、それぞれ数千人から数万人が集結して政権打倒を叫んだ。

 カダフィ大佐は25日、反政府デモに先立ち、物価高騰の救済策として全世帯に現金500リビア・ディナール(約3万3000円)の一律支給や、公務員給与の大幅増額を発表した。大佐はデモ弾圧の方針を公言しているが、牙城のトリポリに反政府勢力の包囲網が迫るのを受け、「アメ」をちらつかせて事態の収束を狙ったとみられる。

 AP通信などによると、新たにリビアの駐フランス大使と国連教育科学文化機関(ユネスコ)大使が政府の強権姿勢に抗議し、辞任した。検事総長も辞任と反政府勢力への合流を表明した。

 一方、エジプトの反政府勢力は25日、ムバラク前大統領を退陣に追い込んだデモ発生から1カ月を記念して、十数万人がカイロ中心部のタハリール広場に集まった。エジプトの後を追うリビア情勢について「カダフィ追放がリビアに光をもたらす」などと訴えた。

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