2011年2月24日 20時42分 更新:2月25日 1時37分
任天堂は26日、裸眼で3D(三次元)映像を楽しめる携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」を発売する。6年ぶりのシリーズ刷新。現行の「ニンテンドーDS」は据え置き型ゲーム機「Wii(ウィー)」とともに任天堂の急成長を支えたが、普及も一巡して最近では業績も悪化。ゲームもできるスマートフォン(多機能携帯電話)などの新しいライバルが増えるなか、3DSは任天堂の浮沈のカギを握る。【宇都宮裕一、弘田恭子】
ニンテンドーDSの販売台数は08年度に3118万台を記録したが、09年度は前年度比13%も減り、10年度はさらに17%減少する見通し。背景にあるのがゲームでも遊ぶことができる、米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」や携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)タッチ」などの存在。これらの端末には液晶画面がDSより高精細なものもあり、ゲームソフトの価格が数百円程度と安いことも支持されている。
販売不振は業績悪化に直結した。任天堂の10年4~12月期連結決算は売上高が前年同期比31.7%減の8079億円となり、2年連続の減収、最終(当期)利益は3年連続の減益となった。
こうした状況の打開を狙って投入する3DSは、裸眼で3D映像が楽しめること以外にも、普及策を盛り込んだ。ゲームソフトを初めから複数組み込むことで、本体を購入するだけですぐに遊べるようにした。自社以外の人気ソフトを充実し、発売から1カ月以内に出るソフトは23本と、DSの時の約2倍に増やし、一気に市場をつくり上げる。
ただ、Wii(2万円)を5000円上回る高額に加え、3D映像のニーズがどの程度あるのか分からない面もあり、熱心なファン以外への浸透度を読み切れないのも実情。野村証券金融経済研究所の桜井雄太シニアアナリストは「(世界で1億4000万台以上売れた)現行シリーズからの買い替え需要が相当数見込める」としたうえで、「スマートフォンの普及でゲームが安く遊べるというイメージが広がりつつあるだけに、品質の高いソフトを継続的に投入し、値段に見合った価値をアピールする必要がある」と指摘する。
3DSは上下に二つのカラー液晶画面を備える。上の画面で3D映像を楽しみながら、下のタッチスクリーンの画面にタッチペンで触れて遊ぶ。3D動画の再生や、本体内蔵カメラでの3D写真の撮影・閲覧も可能。ゲーム機の傾きや動きを感じ取るセンサーも搭載し、DSではできなかったゲーム機自体を動かすことでの操作も可能。希望小売価格は2万5000円。
ライバルのスマートフォンを意識して通信機能も強化した。電源を切らずに持ち歩くと、利用者同士がすれ違う際に無線で互いのデータを交換して遊べる機能も。5月末にはインターネットを通じたソフトの販売や、テレビ局が無料配信する3D映像を無線で受け取れるサービスも始める。NTTグループなどと協力し、国内約2000カ所のアクセスポイントでインターネットに無料接続できるようにもする。
ただ、3Dは目が疲れるため注意も必要だ。任天堂は6歳以下の子供は長時間の使用を控え、2D(平面)表示で遊ぶよう求めている。保護者が暗証番号を入力しない限り、3D映像が表示されない機能も搭載。また、映像の立体感を最大から最小の平面表示まで段階的に調整でき、各自の状態に合った映像に切り替えるよう勧めている。