最高検:取り調べ可視化、否認事件も 3月18日から試行

2011年2月23日 21時24分 更新:2月23日 23時40分

08年に公開された模擬取調室の様子=長谷川直亮撮影
08年に公開された模擬取調室の様子=長谷川直亮撮影

 最高検は23日、東京、大阪、名古屋各地検の特捜部が容疑者を逮捕する事件を対象に、3月18日から取り調べ過程の一部の録音・録画(可視化)を試行すると発表した。郵便不正事件と証拠改ざん・隠蔽(いんぺい)事件を受けた再発防止策の一環。裁判員裁判の対象事件では自白事件に限定して実施しているが、試行では否認事件にも範囲を拡大する。録音・録画データを公判に証拠として提出し、取り調べや調書の内容に問題がないことなど、供述の「任意性」や「信用性」を立証することも想定されている。

 最高検が公表した試行指針などによると、録音・録画は検察官が作成した供述調書を公判で証拠請求することが予想される事件で実施する。対象となる場面や時期は担当検察官が判断するが▽供述した経緯や調書の作成過程▽調書の内容についての質問と応答▽容疑者が調書に署名する場面や、その直後のやり取り--などが想定されている。

 録音・録画は容疑者に告知して開始するが、容疑者が拒否した場合や、関係者のプライバシー保護が困難な場合などは行わない。国税庁や証券取引等監視委員会、公正取引委員会からの告発事件も対象に含まれる。機器の調達時期から開始時期を3月18日とした。試行期間は「当分の間」としており、実施状況と結果はまとまり次第公表する。

 最高検は試行指針を24日、検察改革を議論する法相の私的諮問機関「検察の在り方検討会議」に報告する。委員の一部や日本弁護士連合会などは冤罪(えんざい)防止のために取り調べ過程の全面可視化を求めており、委員から批判が出ることも予想される。

 法務省は各特捜部の試行状況や、在り方検討会議の議論の結果も踏まえ、録音・録画の法制化に向けた作業を進める。

 検察庁は現在、裁判員裁判の対象事件で、容疑者が任意に供述したことを立証するため、容疑者が自白した事件に限って取り調べ過程の一部の録音・録画を行っている。【鈴木一生、山本将克、野口由紀】

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