2011年2月21日 11時37分 更新:2月22日 22時27分
【カイロ和田浩明】反政府デモが拡大しているリビアの最高指導者カダフィ大佐の次男セイフ・アルイスラム氏(38)は21日未明(日本時間21日午前)、国営テレビで演説し、デモ隊が東部のリビア第2の都市ベンガジなどで軍の基地を支配下に置いたことを認めた。セイフ氏は「リビアは内戦の危機にある」と指摘。現体制存続のため「最後の一人になるまで戦う」と述べ、反政府勢力との対決姿勢を鮮明にした。デモは首都トリポリでも20日に発生しているが、それには触れなかった。
16日に反政府デモが始まって以来、指導部が国内情勢について公式の見解を示したのは初めて。セイフ氏は68歳のカダフィ大佐の後継者候補の一人で、近年の経済改革を主導する「開明派」として西側諸国向けのスポークスマンの役割を果たしている。
演説では、一連の反政府デモがイスラム過激派やアフリカ諸国出身の雇い兵によって主導されたものだと主張。反政府デモを「リビアをイスラム原理主義化する企て」と非難し、現体制の存続を通じたリビアの「統一」を国民に訴えた。
また、一連の反体制デモの鎮圧で死傷者が出たことについて、軍がデモ隊の鎮圧に関して十分な訓練を受けていなかったため「ミスがあった」と釈明。200人を超える死者が出ているとの報道を「外国メディアの誇張だ」とし、死者は84人だと反論した。
さらに、チュニジアとエジプトで政権が崩壊したことに言及し、「リビアはエジプトでもチュニジアでもない」と体制存続に自信を見せる一方、国会に相当する全人民会議で「歴史的な国家主導」の改革を近く実施する考えを明らかにした。
一方、カダフィ大佐が国外逃亡したとの報道を否定。大佐は「職にとどまる」と明言した。