リビア:反政府デモ、首都に飛び火 街で激しい銃撃音

2011年2月21日 11時32分 更新:2月21日 12時52分

AP通信がリビア国外で、一般市民から入手したリビア東部ベンガジとみられる都市の写真(撮影日時不明)
AP通信がリビア国外で、一般市民から入手したリビア東部ベンガジとみられる都市の写真(撮影日時不明)

 【カイロ伊藤智永】北アフリカ・リビアの反政府デモは20日夜、首都トリポリに波及し、数千人のデモ隊が最高指導者カダフィ大佐の支持勢力と衝突した。治安当局が実力で鎮圧を図るリビアのデモはこれまで、もともと反政府感情の強い同国東部などに限られていたが、首都に飛び火したことで情勢のさらなる激化は必至だ。一方、デモの中心地となった第2の都市ベンガジは同日、一部兵士がデモに加担し、反政府側の手に落ちた模様だ。

 AP通信などによると、トリポリでは激しい銃撃音が響き渡り、警官隊が催涙ガスなどを使ってデモ隊の分散に乗り出した。デモ隊は市内に飾られたカダフィ大佐の肖像画に投石するなどして抗議したという。

 一方、東部ベンガジでは、デモ隊は火炎瓶や石を武器に治安当局と衝突。さらに、ブルドーザーで政府関連施設に突入を図った。兵士の一部がこうした動きを支援したとされ、中東の衛星テレビ・アルジャジーラは「街は市民の支配下に入った」とのデモ隊の声を伝えた。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは20日、リビアでの一連の反政府デモの死者が4日間で少なくとも233人に上るとの推計を発表した。

 ロイター通信などによると、アラブ連盟のリビア代表が政府の強権的なデモ鎮圧に抗議して辞任した。また、有力部族も反政府デモを支援する立場を明らかにした。

 一方、中東・北東部アフリカでの反政府デモは20日までに10カ国以上に広がった。

 バーレーン、イエメン、ジブチでは治安当局や体制支持派との衝突で、デモの市民に死者が出た。アルジェリア、モロッコ、サウジアラビア、クウェート、ヨルダンでのデモは、今のところ小規模か散発的だ。チュニジアでは19、20両日、首都チュニスで、暫定政府の退陣を求める約4万人の集会が開かれた。

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