東京電力福島第1原発事故を受け、緊急来日していたジョージア大学のチャム・ダラス教授。チェルノブイリ事故で米共同調査チームの代表を務めた米国の権威だが、同教授は今回、都内各地の放射線量も測定した。その結果、意外な場所で高い数値が検出されたという。
ダラス教授は今回、米医師会の医療災害サポートチーム団長として来日。米軍やIAEA(国際原子力機関)、日本医師会と協議し、情報交換などをする一方、持参したガイガーカウンターで都内をチェックした。
各地で放射性物質は検出されたが、いずれも許容範囲。ダラス教授は「東京は基本的に安全だ」というが、気になる発言も。「西新宿・都庁前(新宿区)と豊洲(江東区)で、やや高い数値が出た。特に、豊洲では(第1原発から60数キロの位置にある)福島県郡山市の数値よりも高かった」というのだ。
ダラス教授は、西新宿について「(複数の高層ビルがあるため)風の谷にあたり、放射性物質がたまるのだろう」と分析したが、豊洲は「どうやら、第1原発とは関係がなさそうだ。以前の工業地帯時代に原因があるのではないか。いずれにしても、子供は注意したほうがいい」と語った。
豊洲は1990年代後半まで、石川島播磨重工業や新東京火力発電所などがある東京湾沿いの工業地帯だったが、最近はオフィスビルやマンション、商業施設などが立ち並ぶ人気のエリア。築地市場の移転予定地としても知られており、今回の数値は多少なりとも気になるところだ。
ただ、大気中の放射性物質を浴びても、シャワーで流せば90%は除染できるという。国や自治体によるこまめなチェックとともに、自己防衛も必要だろう。