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アンジェラ・アキ 『LIFE』インタビュー

アルバム
アンジェラ・アキ アルバム『LIFE』

『LIFE』
2010.09.08 RELEASE
[初回生産限定盤]
ESCL-3518/9
3,500円(tax in.)

アンジェラ・アキ アルバム『LIFE』<初回限定盤>を購入する

[通常盤]
ESCL-3520
3,059円(tax in.)

アンジェラ・アキ アルバム『LIFE』<通常盤>を購入する
01.愛の季節
02.輝く人
03.Every Woman's Song
04.サイン
05.Remember Me
06.Unbreakable
07.What Are The Roses For?
08.愛と絆創膏
09.Mad Scientist
10.The Truth Is Like A Lie
11.Bop Bop Bop(Colors of Your Soul)
12.母なる大地
13.LIFE

特集はこちら アンジェラ・アキ デビュー5周年記念特集“LIFE”

アンジェラ・アキ 『LIFE』 インタビュー

--『Unbreakable』も今の話に当てはまりますよね。孤独のどん底を味わったすべての人が経験した想いが綴られていると思うんですが、こうした内容を歌にしようと思ったのは?

アンジェラ:自分は夜っていう時間が結構苦手で。寝られないときは窓から朝日を見たりするんですけど、明るくなった瞬間に安心して眠くなるんですよ。この不安定さは何なんだろう?と思って。で、今回のアルバムのテーマのひとつに“ポジティブ”があるんだけど、巷でポジティブな歌が溢れまくっている時代だからこそ強く思うのは、ポジティブって人にかけられる言葉とかでは絶対無いんですよ。自分の中から見つけて感じて生み出すもの。それが真のポジティブ。だから暗いときもあって良いんですよ。自分のタイミングで立ち直ればいいから。『Unbreakable』は「壊れない心がほしい」と願うけど、別に誰かが助けてくれる訳ではなくて。やっぱり自力でそれを見つけていかないといけないけど、見つけられてそれを本当に感じられたときに真のポジティブ、本当の強さが手に入れられる。だからポジティブって強さなんですよ。

--最近ツイッターとかやってると「結局誰も相手にしてくれない」みたいなことを書いている人を多く見かけます。そうした人にこの曲はどんな風に響いてくれたらと思いますか?

アンジェラ:確かに1人は不安だし、怖いけど、自分があれば良いんじゃないってすごく思う。さっき話した叔母さんが立ち直ってきてる姿とか見ると、やっぱり自分の力で進んで行ってる訳ですよ。カウンセリングとか家族のサポートとかもちろん大事だと思うけど、自分の力で、自分のタイミングで一歩踏み出す。そこに本当のポジティブとか強さを感じる。だから人は落ち込むけど「そんなことで落ち込んじゃダメよ」って言ったり「だからこの曲を聴いて元気になって」なんて押し付けたくもないし。落ち込んでるときは落ち込んでていいと思うし、悲劇のヒロインやヒーローになっちゃえばいいと思う。ツイッターで「人生最悪」「もう嫌だ」って言っていればいい。もちろんフォロワーはどんどん少なくなっていくと思うけど(笑)。で、演じきって「もういいかな」と思ったときにリアルな世界に帰ってくればいいんだから。

--あと、今作にはとってもポップでキュートな曲もあって。『Bop Bop Bop(Colors of Your Soul)』。この曲は見事に聴き手の心を軽くしてくれます。自分ではどんな印象や感想を?

アンジェラ:これもジャニスと一緒に作ったんだけど『Every Woman's Song』作った後に「もう重い歌を作るのはちょっと。」って気分になってて(笑)。それで極端に軽いものを作ろうと思って、メロディはその思い通りになったんだけど、結局は私たちだから歌っている内容は大事なことを言ってるっていう。励みの言葉を探す際に「何を言われたら一番嬉しいかな」って考えて、その人が自分の美しさに気付けるきっかけの言葉にしようと。それで「あなたの魂からは虹色の輝きが見えるんだよ」っていうことをキャッチーにポップに歌いたくて。

--その後に『母なる大地』ですよ。凄まじい振り幅ですが、今回ここまで日本的な曲を作ろうと思ったのは?

アンジェラ:原点に立ち返る、立ち止まる、そしてここから旅立つ。1stアルバムの『Home』では、デビューまでの10年間を故郷として考えて、その原点に立ち返って旅立つっていうことを表現したんだけど、もう一度それをデビュー5年目でやってみようと思って。そう思ったときにピンと「ホッピー神山さんに電話しないと!」って思って、今回のアルバムのテーマやキーワードとして「美空ひばりさんの『川の流れのように』みたいな感じ」とか伝えたんだけど、ホッピーさんが返してきたのはハープじゃなくて琴だったんですよ。今作が和と洋のミックスであることとか、オーヴァーチュアみたいなものを間に挟みたいこととか、そういう私の想いをしっかり受け止めてくれて。

--なるほど。

アンジェラ:で、私がデビューしたとき、故郷っていうのは「育ててくれた人や場所」って言っていたけど、この曲における故郷っていうのは、5年にわたって私の音楽を聴き続けてくれた人たちなんです。みんなに見守られてもう1回ここから私は自分の夢に向かって旅立っていく。それを言いたくて。だから大きな大きな歌にしました。

--今作のラストを飾る『LIFE』。この曲に込めた想いを聞かせてください。

アンジェラ:人生は白黒じゃない。正しいと思われていることと間違いと思われていることが、必ずしもそうではない。子供には「嘘を付いてはいけません」って言うけど「嘘も方便」っていう言葉があるぐらい、嘘こそが2人の愛を守ってくれることだってある訳だから。なので、そのときそのときに自分が思う正しいこと、間違いだと思うことが真実なんじゃないかなっていう。だからそれは変わっていいの。

--この曲の「動けなくても 歩けなくても なくしたものは 取り戻せるから もう一度踏み出せば」と歌いきるところに胸を打たれる人も多いと思います。

アンジェラ:私もそのサビがすごく好きで。喪失感みたいなものってやっぱりあるじゃないですか。歳を取れば取るほど。生きている実感はあるんだけど、何か置いてきちゃっている気がする。自分の無垢な部分とか純粋な部分がどんどん削れていく気がする。でもそれは「きっと取り戻せるんだろう」って信じて進んで行きたいし「もっともっと無くなる」って思ったらそれまでだし。だから踏み出す。

--そんなアンジェラ・アキ、渾身のニューアルバム『LIFE』。どんな風に世に響いていってほしいと思いますか?

アンジェラ:進化できたアルバムだからその成長を見届けてほしい。あと、これが集大成であり、旅立ちのアルバムであるということを胸に聴いてほしいな。デビュー5周年と言うとベスト盤を出すことが普通かもしれないけど「私はそうじゃないな」と思って、このアルバムを作ったから。集大成の気持ちはありながらも「ここからよ」っていう。

--今“集大成”という言葉も出ましたが、自分的にこの5年間はどんな音楽人生だったなと感じていますか?

アンジェラ:デビューまで10年かかったから、ひとつひとつの出来事が鮮明に残ってるし、ひとつひとつのことに対する有り難みが全然違うと思います。CD1枚の価値がよく分かっている上での、メジャーデビューがあり、武道館もあり、そういう夢が叶っていくプロセスだったから。最初にデビューシングルを持ってインストアライブツアーをやったんですけど、その全部の会場を鮮明に今でも憶えてるし。広島の図書館で歌ったとか、青森のジャスコで歌ったとか。それの積み重ねの5年間だから、感謝の気持ちがすごく大きい5年だったなって。何も当たり前だとは思わなかったし、だからこそクオリティの高いものを作りたいといつも思ってました。

--では“これから”のアンジェラ・アキ、どうなっていきたいですか?

アンジェラ:今回、英語詞半分のアルバムを作ったからと言って、アメリカデビューを狙ったりしている訳ではなくて。やっぱり日本をちゃんと拠点として活動していく。いつかは自分の夢であるグラミー賞を獲るとか、カーネギーホールで弾き語りをやるとか、そういう目標っていうのはあって。それに向けて出発している感じは今すごくあるんだけど、変わらずに“伝える”と“繋がる”を自分の芯として今後も守り抜きたいですね。

Interviewer:平賀哲雄
Page Design:佐藤恵